1st Phase - Australia 02

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再びシドニー

 

 一気に予定が変更して当然目指す方向も変わってきた。「東海岸を北上してケアンズを目指そう!」 今いるキャンベラはシドニーの南西に位置している。ケアンズに行くにはシドニーは通り道なので、まあ取り敢えずシドニーに戻りますか!目指すはユースのあったグリーブポイントではなく、S君が少し住んでいたキングスクロスへ。そうです、僕がシドニー到着後にバスで終点まで行って降り立った地、キングスクロスです。もうこの頃にはこの街の噂は知っていて、大阪なら西成、兵庫なら尼崎的な感じだと思います。僕は東京人なので、あくまでもそういう印象と言う個人的な意見であります。

 しかし、S君はこの地を知り尽くしておりなんとも心強いのでありました。ここの街もそうでしたが、 洗練された街よりもどちらかと言うと、廃墟もあり、殺伐とした寂しさもあり、生活感が漂っている街並みが何気に悪い気はしなかった。でも、車上荒らしが多いらしいので、駐車した車は1時間おきにチェックしてましたけど。そして、ここで食べたドネルケバブが超絶美味しかった。東京で言うと、原宿の外れか、上野の外れかで食べるジャンクフードと言う感じかもしれないです。先ほど書いたように、英語の学校へ行くのを止め、旅をしながら英語を学ぶことにしたので、次の目標は仕事を探すことになった。まあ取り敢えず北上しようという事になった。

 


ブルーマウンテン

 

 と聞くと、大抵の人はコーヒーを思い浮かべるみたいですが、僕も全く同じでした。シドニーで出会ったワーホリの先輩(1日でも長く滞在していれば、年齢に関係なくそうなります)に、「ブルーマウンテンと言うコーヒーはこの山から抽出するらしいよ」と言われたのを、全く疑う事もなく受け入れていた。よく考えれば場所が全然違うんだけど、純情な姿が当時ココにはあったのだ。ところで、ブルーマウンテンは、シドニーから西へ80キロほどの場所にあります。スリーシスターズと言う3本の切り立った岩があり、この岩がとても有名で観光場所になってます。もちろん上まで登れます。この名前の由来は、3姉妹がお父さんに岩に変えられてしまったと言うアボリジニの伝説から来ているそうです。岩に変えられてしまうなんて、一体この3人は何をやらかしてしまったのだろうか? お父さんの大切にしていたお酒を一気飲みしてしまったのかな? あ!この頃アボリジニはお酒は飲まなかったかな。まあそれはイイとして、この岩はけっこう標高も高く崖っぷちという感じで多少恐怖を感じる場所だった。しかし、眺めは最高です。

 

ブルーマウンテンのスリーシスターズ

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 高い所から下界を眺めるというのは、人間として誰しもが感じる感動がありますね。何故でしょうね? お気付きだと思いますが、もちろんこの山からコーヒーが抽出する事は決してなかったです。キリマンジャロも山からなのか? モカはどうなる? ってな感じですね。そして、今夜のお宿は木造建築のいかしたバックパッカーにしてみました。ユースホステルバックパッカーは、生徒でいうと、優等生とちょっと不良チックな方ぐらいな違いがあります。ユースも良いのですが、僕的にはバッパ―の方が居心地が良いです。

 

 次の日の朝、宿には必ずと言って良いほど置いてあるゲストブックというものがあります。これは、この宿にお世話になった旅人達の感想が色々書いてあります。パラパラめくって読んでいると、1人の日本人と仲良くなりました。R郎としておきましょう。この時には一瞬で出会いは完結したのですが、この男とはこの後不思議な再会をするのであります。


黄昏るS君。何故かラクダがいる。

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フスハーバー

 

 山の景色とはあっさりオサラバして海岸線の道へ戻ります。シドニーの都会を離れると、周りの景色は一気に大自然で何もない世界をずっと走っている感じです。ココはイギリス系で日本と同じ左側通行です。走っている感覚は日本と同じですが、何と言えば良いのか、とにかく壮大です。畑などは先が見えない有様です。とても良い景色で、リフレッシュするのにはもってこいなのですが、あまり長時間田舎道を走っていると、何となく人工的な建物が恋しくなってきます。無い物ねだりなんですね人間って。そして思うのが、バスや電車の旅も良いと思いますが、車の旅はいつ何処でも何時間でも停車が可能という事です。そして、好きな音楽をかけながら、2人で大声で喋れるという特典付きです。

 

気になった事があるのですが、オーストラリアの幹線道路を走っていると、ビッグシングスと言う、恐らくお店の看板みたいなモノがドシン! と飾ってあります。例えば、巨大なニワトリ、巨大なロブスター、巨大なバナナなどなど。意味不明なモノも沢山ありますが、その物体が現れるたびに、車を止めて撮影会をしてました。何故って? そりゃ~オモロイし若いからです。そんな事をしながら到着したのがコフスハーバーでした。

 

ビッグコア

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ビッグオノ

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小さいエアーズロック

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ビッグバナナ

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 やっぱりバナナの有名な場所らしいのですがバナナは食べないで、小さなウィークエンドマーケットへ行ってみました。食べ物や衣類など沢山の品揃えで1日中楽しめそうな感じで、特に衣類はアジア系で初めて見るような色彩豊かなモノが多く、その中で悩みに悩んで買ったものが、ネパール産の貫頭衣的な服でした。ブルーと紫を混ぜたような色彩に、微妙に他の色が混じっていて、ちょっとした時に羽織るのに丁度良い感じがしたからでした。ここで何故かネパール製品を買うのも不思議だが、気に入ったものはしょうがないです。

 

フスハーバーのビッグバナナ

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 外人さんに声をかけられたので、つたない英語で会話してみると、ほとんど日本人はこの場所には立ち寄らないという事だった。この時には僕らは唯一のアジア人だったかもしれない。しかし、数年後からはかなり日本人の滞在者が増えた様です。この街でフルーツピッキングのお仕事でもあればイイかな~と、日本で言うところのハローワークへ行ったみたのですが、受付のお姉ちゃんにアッサリとこう言われました。「オーストラリア人の失業者が多いのに、日本人にあげる仕事などない」ハイ!その通りですね(笑)という事で、また海外線を北上する事にした。オージーのお姉さんは何だか冷たいかも知れない。

 


バイロンベイからニンビンへ

 

 到着前から、誰か忘れたが、多分R郎だったかもしれないが、バイロンベイという場所がとても綺麗なので是非立ち寄れと言っていた記憶があった。特に灯台が絶景との事だった。町自体の記憶はかなり薄いのだが、確かに灯台は到着時が夕日の時間という事もあり、シュールな景観を醸し出していた。オーストラリアの夕日は、オレンジと真紅のコントラストがとても美しかった。そして恐らく金星だと思うのだが、ポツリとその夕焼け空に浮かんでいる。それを背景にした灯台の姿は、誰が見てもウットリすること間違いなしだ。

 

バイロンベイの灯台

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 もう日も暮れていて、宿を探す気力もなく本日は車中泊する事にしようと思ったが、近くにあるニンビンと言うヒッピーの町が非常に気になり、夜ではあるのだが目指してみる事にした。バイロンベイから海を離れ、山間部の西側の道をひたすら走り始めた。途中から街灯もないワインディングロードになり、ガードレールもない為、若干、いやいやそこそこ運転は慎重になった。一体ニンビンという町はどんな場所なのか? アメリカの西部劇みたいな感じなのか? そんな思いを馳せながら車は暗い山の中へとぐんぐん走っていった。

 

 そんな中、1台の車が猛スピードで僕らの車を追い抜いて行った。「アブねーなーあの車、あんな奴ら崖に落ちちまえばいいんだ!」っと二2人で叫んだ。暫く、多分10分ほど走った先に驚く光景が僕らの目の前に現れた。なんと! さっきのイカれた車が左の崖に落ちいていた。と言うか、運転ミスで事故っていた感じだった。「マジかよ!願いが通じちゃったな?マンガみたいだな~」っと言って笑っていたのだが、ウチらは善人だったらしくこの車を助ける事にしてみた。少し離れた場所に車を止める事にした。何故かと言うと、これは芝居で襲われる可能性もあるかもしれないからだ。かなり用心しながらソロリソロリと近づいていった。車は何か障害物などに当たっている訳ではなく、モチロン燃えてるわでもなく、見た目はいたって普通だ。

 

 今にもこちらが襲われそうな雰囲気だった。すると、車の影からカップルが登場した。見るからに人の良さそうな2人とはすぐに仲良くなり、車を4人で崖から道へ押して行った。無事に車が本来の場所に戻ると彼らが質問してきた。「これからどこへ行くんだい?」「ニンビンだよ」と答えた。すると、彼氏の方が、「この時間からあの場所に2人で行ったらアブねーぞ」と忠告をくれた。彼は「僕らはニンビンの人間でこれから友達の家に遊びにく所なんだ。このトラブルのお礼に、ニンビンで一杯奢らせてくれ、その後に友達の家に一緒に遊びに行こう」っと言ってきた。強い味方ができて喜んでいたが、多少の不安はあった様な無い様なだった。まあこれも若いからアリと言えばアリなんです。と言った感じで、突然新しい展開に突入した。

 

 彼らの車の後に付いて行きクネクネ道を進んで行った。さっきまで運転していた感じとまるで違う。カーブの訪れる速さも格段に上がり、尚且つその時に感じるGもかなりのものだ。そう、彼らの運転はメチャクチャ早かったのだ。一本道だったので迷うことは無いが、後をついて行くのがやっとこさっとこだった。前方の車は消えたり現れたりを繰り返していた。どれぐらい走ったのだろうか? 緊張感漂う運転の中、時間と距離の感覚は完全にブッ飛んでいた。とにかく事故も起こらず何とかニンビンに到着した。暗い山の中に突如オアシスの様な人口の明かりが灯ってきた。町というより、やはり西部劇の世界ソックリだった。風が吹いたら藁の玉がコロコロと転がっていきそうな光景だ。

 

 目を疑う様な世界。現代でもこんな場所が残されていたとは! まあこれはちょっと言い過ぎかもしれないが、自分の感覚ではそう認識できた。車を降りると、見た感じもまさしくヒッピー的なお爺さんが、ゾンビの様に近寄って来て一言「金をくれ」っと。えええー!マジかよあり得ねえ~。タイムスリップしてしまったのかと思うぐらいの衝撃を味わった。それを見ていた彼氏の方が「あ!それはほっとおいて中へ行くよ」っとあっさり決着。すげー頼もしい! バーの中ではビリヤードをしている人達が数人いた。彼氏がウチらにお酒を持ってきてくれて、4人でカンパーイ! 人間同士の出会いって、その時々の選択で全て変わってしまうんだな~とつくづく思った瞬間だ。本当にこの軽く一杯で、この小さな町とはオサラバして、彼らの友達の家へ先を急いだ。

 

 出発してから恐らく1時間ほどでその場所に着いたのだが、やはり道中の運転は半端ないスピードだった。先ほどよりも山の中へドンドン突入しているので、道もだいぶ狭くなっていた。「すげ~コエ~」2人で何回も呟いたセリフだ。着いたその場所は本気で山の中だった。街灯など一切無い世界。おまけに月も出ておらず漆黒の闇の中だった。車を降りてその家へ向かったのだが、人生でこれほどの闇の中の山道を歩いたのは初めてだった。地面の傾斜もわからない、先を歩いている彼らも見えない、声だけを頼りにバランス感覚も全て失いながら、時には4つん這いで這い上って行った。暫くその冥界を進んでいくと、薄らと明かりが見えてきた。こんな場所で暮らしてるとかマジで考えられん。一体どんな人達が住んでいるのか? 興味と不安がグルグルと回転して頭の中をシェイクしていた。

 

 明かりが近づいてくるとだんだんと全体像が見えてきた。山の中にひっそりと佇む一軒家だった。玄関に入ると、直ぐに無線機が置いてあった。無線機からは、「ザーザーザー」と言うノイズが流れている。ナンジャコリャ? そして、何だココは? 奥には老父婦がにこやかに出迎えてくれた。旦那さんはサンタ顔負けのヒゲを従い、奥さんは小柄だが相当な覇気を従えていた。ワンピースで言えば覇王色だ。彼らと老夫婦はかなり仲が良いらしく、ハグハグしながら再会を喜んでいるようだった。という様に僕には見えた。

 

 お茶がもてなされ暫く会話を楽しんだ後、何やら順番に廻って来るものがあった。タバコの親分の様なモノだ。そう、緑の魔法だ! その廻りとは逆廻りに、1メートルほどの竹筒も廻ってきた。ボングの親分だ! その2つがグルグルと僕らの周りを廻るのだが、時に交差する場合がある。その時は二つを同時に頂き左右へと廻す。もう何が何だか分からんちん状態だ。暫くすると目の前の皆の会話も遠くで聞こえてくる様になった。視覚も非常に狭くなってきて、心臓の鼓動が早くなってくる。っと同時にその鼓動と一緒に右足がリズムを刻む。ヤバイ!非常にヤバイ! 完全に取り入れすぎだ。という時には既に手遅れ。「唇が真っ青だよ」とS君に言われて、いよいよヤバさを感じたのだった。僕の記憶はそこまでだった。

 

 翌朝起きると、昨夜とは全く別の家で目覚めていた。頭が異様にガンガンする。お酒を飲んだ時の二日酔いの様でそうではない感覚。アレでこんな風になるとは思わなかった。後で聞くと、昨日のあの家は総元締めの家だったらしく、モノも最高級品だったらしい。S君はお外に散歩しに行ったらしく、彼氏の方はいたが彼女さんは既にいなかった。「ちょっと近くの滝を案内するよ」と言ってくれたので、山道を歩くことにした。なんと! 彼は裸足なのだ。僕らはもちろん靴を履いているのだが、そこら中から魔の手が押し寄せてきた。ヒルだ!下からも上からも来る様で、靴を履いていても、靴下を履いていても、隙間から入り込みしっかりと血を吸われていた。

 

 森の中だしヒルにやられるのはきっとこのツアーに必要な設定なのだろう。それよりも、空気もきれいで大自然の中は何とも爽快だ!観光地ではないひっそりと佇む滝もとても気持ち良かった!フィトンチッド全快だ! 帰りの道中、彼が突然立ち止まった。前方数メートルの場所に1羽の鳥がいたのだ。クッカバラと言うオーストラリアの国鳥だった。存在感のあるドッシリとした可愛い鳥だった。家に戻ると、彼氏さんもこれから仕事に行くらしく鏡の前で用意をしていた。そして、驚くことに! 緑の魔法を決めてから出勤してしまった。すげ~国だなココは!と言うかすげ~人だった。彼の仕事は看護師だったのだがこれで良いのか?「ウン!コレでイイのだ!」

 

ヒルにやられながらの滝

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看板の上に野生のクッカバラ

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クーランガッタ

 

 大自然の森を楽しんだ後は、さらに北上してあのサーフィンで有名なゴールドコーストへ向かった。しかし、2人ともサーフィンをヤル気は全くなかった。ここの滞在日数は短いかもしれない。何故なら今までの感覚では、どちらかと言うと身なりも精神もバックパッカーで、チャラチャラとした雰囲気にはちょっと馴染めない感じだからだ。先ず着いたのは、ゴールドコーストの南サイドのクーランガッタ。波乗りする人には有名なキラポイントという場所だった。海では沢山のサーファーが波乗りを楽しんでいた。18歳位の頃には毎週ぐらいに波乗りに行っていたが、全く技術は向上しなかった。波乗りの世界は深くて難しいのだ。もしくは自分に合ってないのかもしれない。でも、この光景を見てしまうと少し波乗りもやりたくなってきた。キラはまだ繁華街ではないので、少しさびれた静かな場所だ。もし1人でいたらかなり寂しいかもしれない。ウッカリ俳句を詠んでしまうかもしれない。

 

道中の景色

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 多少日も暮れてきて宿を探すことになったのだが、その時後ろの方からイカツイ車に乗ったイカツイ集団がやって来た。ほぼ全員がツルツル頭のネオナチの集団に見える。「おおおー! 僕らに接触しないでくれよ~」っと思いながら通過するのをじっと待っていた。内心はもちろんドキドキだ。そして、「キキーッ!」車は僕らの近くで停車したのだった。「あああ~!マジか!」見た目はバッチリガラ悪いぞ。彼らがゾロゾロと車から降りてくると、真っ直ぐこちらに来て僕らに話しかけてきた。「何処から来たんだ?」シドニーから来てケアンズへ行くところだと答えると、「これから友達の家でパーティーするんだけど来いよ!」っと言ってきた。いやいや流石にこれはナイナイって感じで断ろうかと思ったが、何故だか直感的にオッケーサインを出していた。この直感は正しいのか? この時点ではまだ分からなかった。彼らの車について行くと、直ぐに友達の家に着き、中ではすでに数人が飲んでいた。オーストラリア人のパーティーに突然参加した日本人2名だ。しかし、予想をはるかに超えて楽しかった!ついでに、明日はここでバーベキューをやるので来いと言われた。何となくオッケー的なサインをして今夜はおいとました。

 

 次の日のバーベキューに行ったか行ってないのかは正直覚えていない。そして、クーランガッタから北上すると直ぐにゴールドコーストの中心街が現れた。サーフィンのメッカという事もあり、町にはサーフショップが沢山あった。人々も明るい格好をしていて、南国の雰囲気を存分に出していた。やっぱり、僕らはその中では浮いてしまう存在かもしれない。そんな事はお構いなしでメインストリートを歩いていた。免税店、お土産屋、飲食店の立ち並ぶ道、店の前に立っているキャッチ達は皆茶髪でチャラってる感じだ。んんん~、楽しそうだけど、やはり僕らにはあまり馴染めない町だ。この国で求めているのはやはり大自然の景色だからだ。確か、三日間でこの街を去る事になったと思う。しかしその後、2人はケアンズで同じ様にチャラケてしまうのだが……。

 

ブリスベン

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 次はブリスベンに行った。オーストラリアでは大きな都市の一つで、学生の多い場所としても有名だった。もちろんこの都市にも寄ってみたのだが、僕らの興味を掻立てるモノは何も無かったらしく、早急に退散した。と思う。んんん~、本当に本当にまったく記憶が無いんですこの街。

 


エアリービーチ

 

 メイン道路から少し寄り道して、若者に最近有名な場所エアリビーチに寄ってみた。着いて先ず最初に宿を確保して、そんなに大きい町ではなさそうなので、車を置いて歩いて探索する事にしてみた。ここもゴールドコーストらしい雰囲気があったのだが、もっと田舎の雰囲気で人々も気さくでかなり快適な雰囲気だ。ダイビングが有名らしく沢山の講習のチラシを見かけた。あるショップのダイビング講習のチラシが目に止まった。4日間で日本円で約2万円。激安だった。日本ではおそらく5万円ぐらいかかるはずだ。多少悩んでいたがS君はかなりやる気になっており、僕は仕方なくそれにお供する事になった。と言っても昔から興味はあった。直ぐさまショップの人に詳細を聞いて早速明日からスタートする事にした。必要書類の中にメディカルチェックが必要という事で、紹介されたクリニックに行ってチェックを受けた。大したチェックではなかったので二人とも簡単に取得した。明日の朝は船で近くの島に行って講習を受けるそうだ。僕らはウキウキしながら朝を待った。

 

 次の日の朝、港から島へ行く船の出発時間が迫っていた。ヤバイ! 急いで行かないと! 車に乗り込み猛スピードで港へ向かった。港へ着いて荷物を降ろし船に向かおうとする時に重大な事が発覚した。4日間の講習だが、ここから島へ毎日通うのか?もしくはその 島滞在なのかだ。とっさに僕らは「毎日島へ通う方」にベットして最低限の荷物で船に急いだ。だが、時既に遅し。予定していた船は数百メートル先を既に出発したところだった。あ~やっちまった。2人でガックリして項垂れていると、港のスタッフが来て「次の船に乗って行けばいいよ」と言ってくれた。やっぱり田舎っていい感じだな。ダイビングの講習には遅れてしまうが、何とか島へは行けそうなので一安心だ。次の船は1時間後ぐらいに出発した。目指すはフックアイランド。その船の中で日本人女性2人がいたのでちょっと話しかけてみた。この船にいる日本人はおそらくこの4人だけだろう。島に着くまで彼女達と色々話をしたが、僕らの目的はダイビング講習なのでこの時はサラリとお別れした。しかし、この先の旅でこの2人と再会するとは、この時点では全く考えていなかった。

 

 講習に遅刻して焦りながらの船上で、こんな感じで過ごしているうちに島に到着したのだが、このフックアイランドはかなり小さい島だった。「島の目の前にビーチがある」恐らくこれがこの島の全てであろう。僕らは急いでダイブショップを目指した。しかし見た目そんな感じのお店は無かった。少し探すとそれらしき掘っ建て小屋があり、看板にはダイブショップらしき名前が書いてあった。これしかないな~と思うぐらい周りには何もなかった。小屋の中を覗いてみたが誰もいなかったので、しょうがなく2人でダラダラと過ごしていた。暫くすると、海の方から3人のダイバーがこちらへ向かって歩いて来た。1人は大きい体の外人、恐らくインストラクターだ。彼に続いてノソノソと小柄な外人2人が歩いて来る。大きい外人が僕らを発見して、「遅れて来たやつだな?」と言った。僕らは丁寧に謝り少しホッとした。店の中に案内されて(小屋の中)椅子に座った。

 

フックアイランドのビーチ

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 次の日の朝、港から島へ行く船の出発時間が迫っていた。ヤバイ! 急いで行かないと! 車に乗り込み猛スピードで港へ向かった。港へ着いて荷物を降ろし船に向かおうとする時に重大な事が発覚した。4日間の講習だが、ここから島へ毎日通うのか?もしくはその 島滞在なのかだ。とっさに僕らは「毎日島へ通う方」にベットして最低限の荷物で船に急いだ。だが、時既に遅し。予定していた船は数百メートル先を既に出発したところだった。あ~やっちまった。2人でガックリして項垂れていると、港のスタッフが来て「次の船に乗って行けばいいよ」と言ってくれた。やっぱり田舎っていい感じだな。ダイビングの講習には遅れてしまうが、何とか島へは行けそうなので一安心だ。次の船は1時間後ぐらいに出発した。目指すはフックアイランド。その船の中で日本人女性2人がいたのでちょっと話しかけてみた。この船にいる日本人はおそらくこの4人だけだろう。島に着くまで彼女達と色々話をしたが、僕らの目的はダイビング講習なのでこの時はサラリとお別れした。しかし、この先の旅でこの2人と再会するとは、この時点では全く考えていなかった。

 

 講習に遅刻して焦りながらの船上で、こんな感じで過ごしているうちに島に到着したのだが、このフックアイランドはかなり小さい島だった。「島の目の前にビーチがある」恐らくこれがこの島の全てであろう。僕らは急いでダイブショップを目指した。しかし見た目そんな感じのお店は無かった。少し探すとそれらしき掘っ建て小屋があり、看板にはダイブショップらしき名前が書いてあった。これしかないな~と思うぐらい周りには何もなかった。小屋の中を覗いてみたが誰もいなかったので、しょうがなく2人でダラダラと過ごしていた。暫くすると、海の方から3人のダイバーがこちらへ向かって歩いて来た。1人は大きい体の外人、恐らくインストラクターだ。彼に続いてノソノソと小柄な外人2人が歩いて来る。大きい外人が僕らを発見して、「遅れて来たやつだな?」と言った。僕らは丁寧に謝り少しホッとした。店の中に案内されて(小屋の中)椅子に座った。

 

 すると、イントラはすかさず黒板に絵を描き始めた。水面と思える横線1本、その上に四角、その線の下に少し潰れた四角。そのもっと下にもっと潰れた四角。「この四角は空間だ。水に沈むと水圧で潰れてくるんだ!水圧わかるよな?」僕らは「あ! は、はい」イントラは「ダイビングの器材分かるか?」S君は初めてみたいだが、僕は何かで見た記憶程度に知っていた。「チョットだけ分かります」っと僕は答えると、イントラは「じゃ~この器材着けて、そして行くぞ!」行くぞ? もうこれで行くんか? あんた無茶してないのか? っという事で、海へ突入した。とにかく水中に入ったのだ。オイオイ言っちゃうのかこれで……。でもまあ結構大丈夫だった。人間ナントカなるものだ。直ぐに海から上がり、先ほどの2人の別の生徒と顔合わせをした。彼らはイギリス人だった。歳はだいたい僕らと同じようだ。英語の講習本ばかりだったが、奇跡的に日本語本が1冊あった。S君と共同でこの本を貪り読んだ。遅れて来た僕らも悪かったが、何か強行突破で海の中に沈められた感じだった。まあでも無事に1日目は終了したのであった。

 

 その夜。てっきり日帰りで島へは通いかと思っていた僕らは、この講習が4日間泊まりの講習という事にここで気付くのだった。色々遅いウチらなのだが、気付きも非常に遅いのだった。まあ英語力の低さがこの事態を招いたのは間違いない。僕らは最低限のお金と荷物で来てしまっているので、4日間のご飯代も持ち合わせていなかった。宿のレストランで普通にご飯を食べていたら直ぐにお金は無くなってしまうので、そのレストランで1番安いコッペパンとルートという赤カブみたいな謎の食べ物を購入して、パンに挟んで食べてみた。「パクリ!」まあ食べれるね!って味だった。さあこれから貧困生活の始まりだ。そして宿に帰ると、玄関の前であり得ない生き物と遭遇した。小型のコモドオオトカゲらしき生き物だ。玄関に続く階段の前にいて部屋に入る事が出来ない。一体僕らは何処に来てしまったのだろうか? 何だこの巨大生物の島は!

 

 次の日も怒涛の講習は続いた。殆どの講習内容は覚えていないのだが、唯一覚えているのが、水中でマスクを外して泳ぐ事だった。目を開けろと言われたが、かなりの恐怖で開けるどころではない。チラッと開けたが水中は魚もいない茶色い世界で益々恐怖心を煽るのだった。この状態で15秒位だっただろうか、水中なのでもちろん声には出せないが、心の中では絶叫を伴っていた。イントラはそんな心境も知らずに僕を吊って泳ぐのであった。その夜、ウチラ極貧生活チームのご飯は相変わらずルートサンドイッチだった。もう名前とか付けちゃってたりした。そんな中、イギリス人2人がかなり高等なテクニックを披露していた。海岸に行って牡蠣を取って、その牡蠣をバーベキューしている他のグループの肉と交換するというものだった。お前らナイスアイデアだよ!さすが冒険心の強いイギリス人だ。早速彼らの真似をしてマイナスドライバーを片手に、懐中電灯をもう片手に持ち海岸へ行った。岩にはかなり沢山の牡蠣が付いていたのだが、なかなか上手く採れない。失敗すると粉々になってしまう。

 

 悪戦苦闘の末、そこそこの量をゲットして直ぐさまバーベキューしている家族の元へ直行した。「この牡蠣とお肉交換しない?」お父さんらしき人は「おおお~!牡蠣じゃないか!もちろんイイよ!」という事で、僕らは今までの極貧生活から一転して優雅な生活になった。二人して久々のお肉にかじりつく「うめ~最高にうめー!」こんな事を繰り返しながら、無事にダイビングカードを取得出来る事になった。最後のテストの時にはこんな事があった。イントラが間違った答えの答案を見てずっと僕を睨んでいた。「あれ?この問題間違ってるのかな?」という具合に彼を見ると頷いている。「じゃーこっちかな?」彼は頷いている。という感じでテストに合格した。イイんかこれで!(笑)。とにかくカードは取得した。フフフ。果たして僕は、これからダイビングという世界に入っていくのだろうか? この時、ダイビングと言うものにあまり魅力を感じていなかったのだが、数年後、この業界にドップリダイブする自分がいるとは誰しも予想していなかった。

 

宿の前にいたデカトカゲ

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インストラクター&ダイブショップ?

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タウンズビル

 

 さあ、ケアンズまではあともう少し! と言っても、オーストラリアは流石にデカイ! 日本の面積の約22倍らしい。グレートバリアリーフよりも日本は小さいと言うのだからかなり笑えてしまう。次に着いた街はタウンズビルと言う場所だった。町自体に特に何があったという事はなかったのだが、かなり面白い体験をさせて頂いた。夕方ぐらいに目に止まったサッカーコート。木々が生い茂りとても気持ちの良い場所だ。ここで少しダラダラと過ごしていた。辺りは既に暗くなり、コートには照明の灯りが広がっていた。よく見るとかなり年配さんのチームのようで、すごく楽しそうに見える。これからサッカーの試合が始まる雰囲気だ。なんだかワクワクするな~、これから宿を探すのは面倒なので、このままサッカー観戦をしてこの場所で車の中で寝てしまおう! という事になった。選手達が集まり、着替えをしたりウォームアップしたりしていた。そんな中、こちらに1人の選手が近寄って来た。「君ら何やってるんだい? ちょっとメンバー足りないので試合に出てくれないかな?」っと言ってきた。「え! 本気なのかな? すごい面白そうだけど」S君と顔を見合わせて。「はい! 出ます!お願い致します」という事で、突然サッカーをする事になったのだ。

 

 2人ともサッカーは体育でやった程度だった。おじさま達は、ウチらよりはるかに年上だったのだが、体力や技術力もはるかに上だった。20代のウチらがかなりヘトヘトで、おそらく使い物になっていなかったと思うのだが、良い汗をかき笑顔も絶えず最高に楽しかった! 試合は勝ったのか負けたのかは覚えていないのだが、とにかく最高な時間を過ごす事が出来た。試合が終わり、僕らは宿に戻る事にした。宿と言っても本日の寝床は、目の前に駐車してある車の中だ。すると選手のおじさんが来て「君らどこに泊まってるんだい?」と質問して来た。「あの~この車っす(笑)、もう宿探すの面倒で」と言うと。おじさんは満面の笑みを浮かべて「よし! 最高の寝床とお食事を君らに提供しよう! 今夜はウチにおいで! もちろん無料だよ!」っと、神様みたいな提案をして来てくれた。もちろんガッチリイエスだ!断る理由が全く何処にも見当たらないからだ。シドニーを出てから、本当に色々な人達に暖かくして頂き、最高のおもてなしを受け続けている2人だった。

 

サッカーの試合、お宿、お食事。ありがとう!

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道中の景色

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 そして次の日、何と! 出発直前にお菓子などの食べ物も与えてくれた。感動で涙がチョチョギレそうだった。たまたま、サッカーの試合を見てただけで、そのサッカーの試合に出て、そのメンバーの家にお世話になり、食べ物を頂き、お土産まで頂いた。こんなドラマの様な展開がオーストラリアでは普通なのだろうか? 人間の温かさの大切さと言うものを存分に感じた出来事だった。みなさま有難うございました。

 


ケアンズ

 

 タウンズビルからは、特にストップする事もなくケアンズへ真っ直ぐに進んで行った。途中は、やはり変わることの無い大自然の景色の中をひたすら進んで行ったが、だんだんケアンズへ近くなるに従って景色が徐々に変化していった。疎らながらに人家が増えていき、疎らながらに車も増えていった。シドニーから日本列島とほぼ同じ距離を進んでやっとこケアンズへ到着した。だが、イタリア製のアルファロメオ嬢は、このオーストラリアの広大な土地の前にすでに老婆と化していたのだった。ケアンズの街中へ到着した時には「お前はすでに死んでいる」と言う、北斗の拳の言葉を思い出した。彼女、いや老婆はすでに自力で走ることは出来ず介護の手が必要だった。とうとう人の手を借りる羽目になってしまったのだ。もはや車というより、ちょっと動くイタリアンデザインの鉄の箱だ。

 

ダラダラなカンガルー

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犬とコアラ

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 1人が運転、1人が車を押す。絶対に1人では車を押しきれなかった。そんな時間を暫く過ごしていたのだが突然救世主が現れた! 以前、ダイビングの講習をする際に乗った船で出会った、日本人の女性1人が歩道をテケテケと歩いていたのだ。すかさず彼女を呼び止め話しかけると、僕らの事を覚えていてくれたみたいだった。これは天が授けてくれた思し召しとばかりに、運転手を頼み男2人で車を押した。交差点の2階にあるバーからは、そんな僕らをあざ笑うかの様に歓声が上がりメチャクチャ恥ずかしかったが、メチャクチャ楽しくて僕らも笑い続けた。到着日はそのままユースへ直行して、次の日に車屋さんへ行く事にした。

 

 ケアンズシドニーと違って、都会ではあるけどかなり田舎な雰囲気だった。しかし、ちゃんとアルファロメオのお店もあり車を見てもらう事になった。結果は……。治せるがかなりの費用がかかってしまう事と、もしかしたら車が古すぎる為にパーツが無いかも? という事だった。2人でかなり悩んだのだが、これからの事を考えるとここで手放して、ケアンズでは新しい足を購入した方が良いと言う結論に至った。今までありがとうアルファ嬢! S君はそんな中ユース脱出計画を目論んでいたのだった。以前から物件を探しに行っていたらしく、ある日一緒に下見しに行く事になった。場所はちょっと外れにあったが、静かでこじんまりとした部屋だった。たいして悩みもせずにその場所へ引っ越す事になった。

 

 荷物はお互いリュック1つなので、引越し業者も呼ばなくて良い身軽な引っ越しだ。自分のお部屋があるというのはとても快適だったが、この部屋ではかなりダニにやられた。被害状況は、背中に32箇所の噛み跡と言う数を叩き出した。痛痒くて最悪な数日を過ごしたのだが、1度やられるとその後はパッタリとやられなくなった。何とも不思議な現象だ。きっと僕の血はダニさんの口に合わなかったのだろう。しかし、この部屋も数週間で去る事になった。何故かと言うと、他の人と家をシェアをする事になったからだ。お相手はと言うと、島であった女性2名とだ。彼女たちはとてつもなく素晴らしい家に住んでいて、尚且つ2部屋の家だった。現在は1人1部屋で使用しているみたいだが、僕らを入れて4人でシェアした方が安くなるという理由と、その他諸々だった。という事で、4人のドタバタ生活がスタートした!この4人では本当に色々なところに行って遊びまくっていた。もちろん若いせいもあるので、意味不明な遊びも多かったが、メチャメチャ楽しかった!

 

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ビックリした作品

 

 話は短いですが、これは何かの繋がりを感じた出来事でした。「山玄」という高級日本食レストランがあり、そのお店の中に飾ってあった和紙の作品があったんです。これが、オーストラリアに来る前に、アート学校の方から助手として働かないか? と紹介されていた先生の作品だったのです。最初見た時には、「見覚えある作風だな?」っと思ってたのでしたが、よ~く見るとその作家先生のサインがありけっこう驚きました。あの時ワーホリを選ばず、この先生の助手をしていたら今はどんな世界になっていたのか? 違った形でオーストラリアに関わっていたのだろうか? 人生での選択というものは本当に面白い。マトリックスのリローデッドを思い出してしまう。

 

ケアンズ

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ケアンズケントス』と言う日本カラオケ屋さん

 

 とうとう、ワーキングホリデーのホリデー部門から、ワーキングの世界へ突入です。やはり仕事をしないとワーキングホリデーという名にはふさわしくないですよね。ビザの期間は1年間ですが、この期間をどうやって過ごすかで僕ら的に呼び名が違ってました。ひたすら仕事をしないで休日を過ごしている人を「ホリホリ」ひたすら働いている人を「ワーワー」仕事も遊びもこなす人を「ワーホリ」と呼んでました。もちろん正式な呼び方ではないです。この国で働ける職種は主に観光業で、ツアー会社、日本料理屋、お土産やさんなどです。就業方法は、 各お店には求人スペースがありそれをひたすら見たり、 働いてる友達から情報を集めたり、 道を歩いていてスカウトされたり、という感じです。僕は結局この3つとも経験しました。

 

 最初の仕事は求人広告からでした。日本人経営のカラオケ屋さんのキッチンです。高校生の時に居酒屋さんでバイトしたぐらいの経験しかありませんでしたが、とにかくこの時にはチャレンジでした。キッチン以外にもDJやホールなどの仕事がありました。外人スタッフもホールで数名、日本人も数名いて、DJは日本人2名、キッチンは僕を入れて3名という感じです。カラオケ屋さんと言ってもボックスではなくホールという感じす。皆の前で歌う感じです。食事はビュッフェ形式で、今考えると昔のスナックに食事が付いた感じです。以前居酒屋でバイトしていた時には、ドリンクとホールメインで、たまに焼き物をしてました。料理自体をちゃんと作った事はなかったので、ここではかなり勉強になりました。有名焼肉店からシェフがやってきて教えてくれたり、大量の食事を作る感覚、鶏肉のさばき方などなど。お遊びでマヨネーズやプリンなども作りました。他のメンバーもかなりオモロイ人達が集まっており、海外で働くという事は基本的に日本で働くのと同じですが、決定的に違うのはシステムやノリですね。ただ、日本人経営だったので まだまだ日本風だったことを後に感じました。

 

 お客さんもまばらでかなり暇なお店だったのですが、皆んな仲良く楽しく働いてました。いや遊んでいた? そんなある日の事、お店の中で玉ねぎの皮をむいていると、周りのスタッフから「何かこの店終わりっぽいよ」という噂が聞こえてきた。「まだ2ヶ月も経ってないのに何故?」暫くすると、マネージャーが店に来てバタバタしている。そして、スタッフを集めて突然の終了を宣言したのであります。突然でビックリしたけどこういう事でした。マネージャーがビザ関係で捕まった為です。あまり詳細は教えてくれなかったのですが、とにかく突然の営業停止でした。と言うか本気で終了っぽかった。最後の給料は現金で支払われる事がなく、お店にある物品支給だった。あ~マジでお金で欲しいんですけどって感じだったが、まあお店側も若干可哀想だから許してあげた。しかし、当たり前だが他のスタッフからは文句の声も沢山聞こえた。でも店は終了で現金はないという事なので(きっとあるだろうけど)、厨房にある品物を皆で分ける事にした。ジャガイモ、ニンジン、お肉などなど。僕はタマネギをどっさり頂くことにした。何と言うか、海外での初仕事はこの様に終了してしまったのは、少し寂しい気がした。という事で、早くも失業したのだった。まあでも、しゃーないっす。はい次々~!

 

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ゴールドコーストラソン

 

 何で急にマラソンなんかしようと思ったのかは、今になっては覚えていないのだが、 まあ恐らく何か思い出作りの一環だったのだろう。もしくは気の迷いだろう。わざわざこの大会の為にケアンズから遥々やって来たのだから。今までの人生でフルマラソン、42.195キロなど走ったことはもちろんなく、ろくに練習もせず、タバコも吸っていてかなり舐めたマラソンランナーだった。きっと頑張れば何とかなると言う若さゆえの油断というやつだったのだと思う。大会数日前にゴールドコーストへ到着して、軽く市内観光して、軽くランニングして大会当日に備えた。っというか全然備えていなかった。

 

 大会当日は、まだ暗いうちに起きて会場に行きゼッケンなどを貰った。そして夜明け前にスタート!ものすごい人の数で皆気合い十分といった感じだ。出だしは快適に走っていたのだが、暫くすると今まで味わったことのない疲労感がドッシリ押し寄せてきた。あ~まだまだ先は長いのにこれ続けれるのめっちゃ不安だ~。しかし前に進むしかないのだ。辺りは明るくなってきて気温もどんどん上昇していった。普通の道路を走るので見学者も多い。やっとの事で折り返し地点。そこでトイレに入り用を足し終わると、なんと! そこで片足終了。足が攣ってしまったのだ。後で知ることになるのだが、急に足を止まるべきではなかったらしい。片足を引きながら走る! いや、早歩きぐらいでゴールを目指したが心は既に折れかかっていた。

 

 道路の両脇でオージーはバーベキューしながら観戦。彼らはどの状況でもバービーなのだ!もう週末はバビバビするしかないのだ。そして僕らランナーたちに「ホラ美味しいぞ!食べて行けよ!」っとありえない勧誘をしていた。「こっちは走ってるのにそんなもん食ってられっか!しかし美味そうだな~」なんて思っていた。しかし、なんとなんと! あり得ない光景が僕の目に止まった。S君がそのバーベキューの肉に手を出していたのだ!。「マジか! マジなのか! 何か頭のトラブルなのか?」「あ~ダメだ!食べちゃ~!」という声はもちろん届かず。S君はその肉をパクッと食べた……。そして倒れてしまった。

 

 しかし無駄死にではなかった、周りの笑いを呼んだのだ! そりゃー、マラソンの途中で肉食ったら倒れるがな。しかし、S君は立ち上がりゴールを目指すのだが、既に両足は攣っていてゾンビよりも遅い始末だった。そして5時間後、2人とも死にそうな顔でゴールイン! ゴール地点で、この大会を提供している会社のコーラとネーブルが無料で配給。人生でこんなにコーラとネーブルが美味しいと感じたことはなかったぐらいだ。飢えた猛獣の様にガッツいて食べていると、なんと! 隣にはブルーマウンテンで出会ったR郎がいた。マラソンの参加人数を考えると、とてつもない偶然に感動した。こえ~ぞ偶然。お互い驚いたが食べ続けた。すごい偶然の出会いの割には、R郎とはこれでサラッと別れた。

 

 次の日。2人の足はパンパンに腫れ上がり、ただ歩くだけでも非常に辛く、ましてや階段を上り下りしようものなら激痛が襲った。動く速度はその辺のオモチャよりも遅いぐらいだった。前回はほとんど街中を見なかったが、今回は軽く観光してケアンズに戻った。ケアンズに戻ってしばらくすると、女性チームが要らないラジカセを張り紙を出して売りに出していた。その広告を見て1人の男が買いに来た。「すんませ~ん、張り紙見てラジカセ買いに来たんですけど~」なんと! それがR郎だったのだ!これで3回目の出会い。全てアポ無しだ! こえーぞ偶然。と言うか、気味悪いぞ偶然!この再再会には、S君とR郎3人で思いっきり笑ってしまった。

 

めっちゃ腫れ上がってるS君の足

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つづく...... 

 

 

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