1st Phase - Australia 05

モネの様な夕日

f:id:diveseaforest:20190402205232j:plain



パース出発!先ずはハットリバー公国へ

 

 ここからはKちゃんと2人旅が始まった。Kちゃんの強い要望でこの国へ行くことになったのだが、何だか謎なこの国は、なんと独立国で国のお金もあるらしい!っと地球の歩き方に書いてあった。実際は公国だったのだが、かなり道に迷いながらやっとこさっとことで到着。広大な畑の中にポツンと家が建っている。独立国という感じではなく、田舎にある普通の農家だ。もう全然、国とかそういう風には見えないのだが、僕の生まれる頃に小麦の問題で国から独立を宣言したそうだ。

 

ハットリバー公国

f:id:diveseaforest:20190402205323j:plain


 入国すると先ず、入り口に王様の上半身の不気味なオブジェがある。ゲートも人も無くてすんなり入国出来るのはとても良い事だ!お家へ勝手にお邪魔すると、やはり誰もいない。「んんん~何じゃここは?不思議過ぎて素晴らしい!」暫くすると、お爺ちゃんがノソノソと現れた。誰だろ?と思ったそのおじいちゃんこそが国王様だった!本に載っている写真が若すぎて全く分からなかったのだ(笑)スゴイ気さくなイイ人で、自国通貨を見せてくれたり、あまり分からなかったが色々なお話を聞かせてくれた。そして、お金を払えばこの国の市民権も獲得できるらしい。取りあえず記念撮影をして、この国の繁栄を祈りつつこの国を出国することにした。

 この国のウェブサイト - http://www.principality-hutt-river.org/

 

ハットリバー

f:id:diveseaforest:20190402205352j:plainf:id:diveseaforest:20190402205400j:plain



ピナクルズ

 

 ここは、パースの北約250キロの位置にあり、広大な砂漠の中に墓標の様に立ち並ぶ岩の様なオブジェ達を見ることが出来ます。この何とも不思議な光景は、大昔海底だったところに貝が積もり、そこに生えた木が風化して化石化したものと言われてます。砂漠に疎らにそびえ立つ化石群は、とてもシュールで地球にいることを忘れさせてくれます。そして「この地球に山や森は存在しない」と言うキテレツな説も思い出させてもくれます。ココへは夜に着いてしまったので、この光景は朝方拝むことが出来ました。うっかり国立公園内でキャンプをしてしまった事は内緒です。

 

ピナクルズ

f:id:diveseaforest:20190402205545j:plainf:id:diveseaforest:20190402205556j:plain


 ここの帰り道、ちょっと気になる近くのグレイと言う砂漠ルートがありました。風景も良さそうだしチャレンジしてみたのですが、これが思わぬ結果になってしまいました。もう少しで海が見えるサクサクの砂の道だったのですが、道幅が狭くて上り下りが激しく、うっかり停車してしまったのが運の尽き。タイヤは砂に囚われズンズン埋まって行ってしまいました。下が砂の為ジャッキは入らず、気温はどんどん上昇するばかり、見渡しても人も車も通らない荒野の風景。車を脱出させようと頑張れば頑張るほど喉も乾き疲れてしまい、「あ~ヤバイ!非常にヤバイ!このまま誰にも発見されずに干からびて終わってしまうのかな~」などと言う弱気な事を考えてしまうほど絶望的でした。

 しかし数時間後。正面から救世主の様な車が現れたのです。僕の車は道のど真ん中でスタックしているのでその車も通れない。その車が近くまで来て、中から人が降りてきて発した第一声が、「ファックユー!」でした。まあ確かにその通りなんですが、何とかこの方に助けて頂き一命をとりとめました。最後に僕が「ありがとう!」と言ったのですが、彼は無言で立ち去りました。チャレンジも良いけど程々にしておかないと!と肝に銘じた出来事でした。そして、直ぐに近くのビーチに行ったのですが、誰もいないビーチは超絶綺麗で大絶叫!時間を忘れてしまうような錯覚に陥りそうでした。

 

ピナクルズ近郊

f:id:diveseaforest:20190402205647j:plain


 ここから舗装道路に出て、さらに北上していくとジェラルトンと言う港湾都市がありました。パースから軽く420キロです。特にココで何かしたわけではないのですが、ボケ~っと海を見ていると、野生のイルカが泳いでました。夕暮れ時の海に静かに泳いでいるイルカ達の姿は、心休まる精神安定剤のような景色でした。この先のモンキーマイアに着くまでに、イルカと出会えるとはラッキーでした!さて、まだまだ北上して行きます!

 

 

世界遺産シャークベイ!

 

f:id:diveseaforest:20190402205737j:plain



ストロマトライト

 

 ジェラルトンからサクッと400キロほど北上すると、世界遺産シャークベイの入り口に到達します。そこで出会う事の出来るのが、地球の酸素を作り出したシアノバクテリアと言う藻の仲間「ストロマトライト!」です。何のこっちゃ?という感じなのですが凄い偉いお方なのです。今から30億年ほど前から存在していて、今日まで地道に酸素を作り出しており、地球上のあらゆる生物達に供給している。らしい……。最初は何だかよく分からない黒い物体? って感じで全然興味がわかなかったけど、折角だし行ってみるかー! って事で見学しに行ってみたのでした。

 

ストロマトライトへの道中

f:id:diveseaforest:20190402205809j:plain


 説明はもちろん全て英語だったのでチョットしか分からなかったけど、取りあえず海岸へ向けて歩いて行った。ちょうど干満帯の辺りに、黒いモコモコした物体が沢山あったが、見た目は黒い岩があるだけのように見えた。しかし実際は岩とは全く違っていた。太古の昔から生きている貴重な存在にも関わらず、上を歩いても良いらしい。なんか扱いが微妙に分からないがとにかく上を歩いてみた。驚くことに、岩の感触ではなく、何というか、引いたばかりのアスファルトのような感触だった。ムニュンムニュンって感じだ。「おー! これが酸素を作った最初の発明者か!」 って感じは全然なくて、スゴイ思いっきり地味だった。

ストロマトライト

f:id:diveseaforest:20190402205840j:plain


ストロマトライトの詳細はこちらが分かりやすいです。http://www.geolab.jp/science/2005/06/science-025.php

 

 と言うように、当時はあまり感動してなかったのを覚えている。しかし、それから数年後。海の仕事をするようになり、海の勉強をするようになり、この偉大なお方の存在を否が応でも知ることになってしまった。あああ~あの時もっと見とけば良かったー! っという後悔の思いは毎年増幅するばかりである。やっぱり、本当にスゴイ物や人は、一見しただけでは分かりませぬな。世界はその様になっているのだな、と言うことを唯一学べたのかもしれない。

 

 

モンキーマイア

 

f:id:diveseaforest:20190402205913j:plain


 ムニュンムニュンの偉いお方の場所からすぐに、野生のバンドウイルカと触れ合う事の出来るモンキーマイアがあります。世界遺産になってから3年目に行ったので厳しくなったのかもしれませんが、「子供は触れるが大人はダメ」と言うルールでした。まあ触る気は無かったので別にいいんですけどね~。僕の生まれる前からイルカ達はこの湾に姿を現していたという事ですが、その昔あまり人がいないこの場所だったら、何だか気持ちは分かるような気がします。でも、既に観光名所となっているこの場所に、現在でも姿を見せているのは不思議でしょうがありません。

 

モンキーマイア

f:id:diveseaforest:20190402205946j:plainf:id:diveseaforest:20190402205955j:plain



シェルズビーチ

 

f:id:diveseaforest:20190402210029j:plain


 メインロードから外れて北西へ進むと、旅仲間では有名なシェルズビーチがある。海と浜以外何も無い場所なのだが、よ~く見ると砂浜ではなく全て貝殻で出来ているのだ。広大なビーチなのだが全て貝殻。青い海に真っ白なビーチ、あまりの素晴らしい景色に声も出ない。っが、次の瞬間絶叫で海まで駆け寄る。以前書いたが、すごい景色の時には走るのだ! ビーチの貝殻は一体幾つあるのか? 宇宙にある星の数ほどあるのではないかと思うぐらいだ。きっと宇宙にある星はもっとあるのだろうけど。水際を見てから浅瀬をよく見ると、水底には文字が沢山浮かび上がっていた。水の中に文字? ハテ? と思ったが、こういう仕掛けだった。水底は白いキャンバスなので、もっと白い又は黒い貝殻を集めて色々な文字を作っているのだ。

 

 いつまでも遠浅の透明度の良い海で、おそらく潮流も無いので貝で文字が書けるのだろう。英語ばかりが目についたので、早速もっと白っぽい貝を集めて水底に文字を作ってみた。よく観光地にある落書きと感覚は一緒だが、建築物などに傷を付ける訳ではないのでまあ良いだろう。周りには人は一切いない。Kちゃんと二人っきりの世界だ。ここで一日中本を読むのも良いかもしれない。いや、何も考えずボケ~っとするのも魅力的だ。だが、まだ隠居生活の老人では無いので、沖合に向けてガツガツ歩き出した。海に入って400メートルほど沖合に行ってもまだ深さは腰の辺りだ。超遠浅だった。魚などは全く見かけず、1匹の大きなクラゲが漂っていただけであった。海の中から見るシェルズビーチもとても気持ちの良いものだった。超現実的な世界がここにもあった。豪州恐るべしだ。


 パースから北上したらとにかく暑い暑い。車にはエアコンなのどと言う近代兵器は付いていないので、カッコ良く言えばナチュラルエアーだ! しかし、正直言って熱風だ!息を吸うのも辛くなるぐらい蒸し風呂状態だ。そこで登場したのが、アイロンがけのお供「霧吹きさん」。もちろん、旅をしていてアイロンがけする事はなく、暑い時に自分に吹きかける為に用意をした。これがかなり使えるグッズだったのだ。暑くなったら顔に「シュッシュッ」と吹きかけると、途端に涼やかになるのだ。しかし直ぐに乾燥してしまうのだが、何もしないで我慢しているより、断然快適レベルが高い。

 

f:id:diveseaforest:20190402210100j:plainf:id:diveseaforest:20190402210107j:plain



カメの産卵

 

 正確な場所は覚えてないのですが、夜、誰もいない海でかなりの時間粘って粘って待っていた。かなり根気よく待っていた結果、とうとう念願のカメさんが海からえっちらおっちらと砂浜を歩いてやって来ました!「おおお~来た来た!さあ!産卵だー!」早速その場所へ近寄って行ったのでしたが、なんとー!カメさんは産卵しないでそのまま海に帰ってしまったのでした。「えええ~何で~?」きっと何かあったに違いないと思ったのですが、後から近くの看板を発見して分かりました。「完全に産卵が始まってからでないと決して近寄ってはダメ」と言う事だったらしい。カメさん、本当にごめんなさい。m(__)m 海より深い反省をしたのでした。

 


エクスマウス

 

 メインロードから少し外れて行くエクスマウスなのだが、ここに行く途中に有名なショートカットがある。名前はカンナミユキロード。もちろん正式な名前では無い。その昔、ワーキングホリデーで来ていたカンナミユキさんという人がいたらしい。何でこの道に彼女の名前が付いたのかは摩訶不思議である。どんな道か非常に気になったので、早速この道を使用してエクスマウスに行くことにした。メインロードはもちろん舗装道路なのだが、カンナミユキロードはサラサラふさふさの赤土で、停車したら絶対にスタッグしてしまう様な道だった。僕の車はこの時にかなり不調で、ラジエーターの水が何故だか蒸発して空っぽになってしまい、水温計がグングン上がる症状に悩まされていた。空になったら常備している水を足せば良いのだが、当たり前の事だがその際には必ず車を止めなければならない。でも停車する訳にはいかないのだ。スタッグしそうだから!と心配しながらひたすら赤土で景色の変わらない道を走り続けていた。

カンナミユキロード

f:id:diveseaforest:20190402210138j:plain


 かなり細かい赤土なので、窓を閉めていても赤い砂は車内に侵入してきてしまう。道の表面は、コルゲーションと言って、洗濯板の様な形状なので、ガタガタ、ガタガタという様に車が振動する。この道の走り方は、ガタガタするからと言ってスピードを緩めてはいけないのだ。スピードを緩めてもダメ、停車してもダメ。水温計を上昇させてもダメ。という様に、ダメダメ三連発なのだ。一体いつまでこの道は続いているのだろうか? 早くしないと、ちょっとのミスで車はスタッグする事はもちろん、車自体も二度と動かなくなってしまう。非常に危険でヤバイのだ。尚且つ、こんな道の途中で停まってしまったら、外気温は50度近く、通る車もまず期待出来ない。よって、死に近づいてしまうということだ。しかし、こういう時に限って天は僕を遠ざけるのであった。何とラジエーターがレッドゾーンに突入しようとしていたのだ。冷却水ピンチ! すぐにスピードを落としてヒートしない様にするのだが、何事にも限界はあるものだ。

 まあ、なる様にしかならないので、あまり深く考えない様にしてみた。すると、天は僕らを見放してなかった様で、遠くの方に終点らしき景色が視界に入ってきた。かなりのドキドキ感を味わったが、運が良かったせいか無事に舗装道路へ出る事が出来た。すぐさま水補給をしてエクスマウスへ向かった。エクスマウスに着くと、田舎の海に来た雰囲気を漂わせていた。数件のダイブショップが佇み、長閑で気持ち良い場所なのだが、もっと長閑な所から来てしまったせいか、こんな田舎でも賑やかに感じてしまった。ダイバーには、「ニンガロウリーフ」と言う、ジンベイザメと遭遇する確率の高いダイブサイトがあるらしいのだが、僕らはダイビングする気は全くなかったので、サラッっと町並みを眺めて次の目的地まで車を走らせる事にしてみた。

 

 

ポートヘッドランド

 

 オーストラリア北側は本当に暑い暑い!ここのガソリンスタンドで補給した飲み水はなんと微塩水!塩分補給の為にわざとしてるのか?自然とこういうものなのか?未だに不明だ。よけい喉が乾く感じがした。そして、ちょっと下品な話ですが、お風呂も入らず車生活をしていたので、髪の毛を洗うのは公衆トイレの洗面所。身体はもちろん洗って無い為、挙げ句の果てに1週間履き続けていた下着は、裏返し戦法をしたにもかかわらず、ゾンビの様なボロボロの別次元物体に変わり果てていた。この様な状態ではリカバリー不可能なので、思いっきりゴミ箱に投げ捨てたのだった。

 

道中の景色

f:id:diveseaforest:20190402210215j:plainf:id:diveseaforest:20190402210227j:plain

f:id:diveseaforest:20190402210245j:plain

f:id:diveseaforest:20190402210309j:plain



ニューマン

 

 おそらく今回のオーストラリア一周の旅で一番気温が高かった場所です。サングラスを車のダッシュボードの上に置いて走っていると、突然「バキッ」っという音と共にレンズが割れた。ラジオから流れてくる情報では気温は50度と言うことだ。もうここまでくると暑いというか痛い!あまりの暑さに、この辺ではおそらく貴重なスーパーに行き少し休憩。この機会にガソリン補給をしておこうと思い、いつも常備している予備タンクの蓋を開けたと途端、ガソリンが「ドバー!」噴火した様に空高くまで吹っ飛んだ。暑さのせいと自分の蓋の開け方のせいだった。

 

道中の景色

f:id:diveseaforest:20190402210345j:plainf:id:diveseaforest:20190402210403j:plain

f:id:diveseaforest:20190402210419j:plain

f:id:diveseaforest:20190402210441j:plainf:id:diveseaforest:20190402210454j:plain

f:id:diveseaforest:20190402210721j:plainf:id:diveseaforest:20190402210728j:plain



ブルーム

 

 この頃、逆周りで出会った旅人達から必ず言われたのは、「ブルームはイイぞ」というセリフだった。「何がイイの?」と聞くと、「とにかくイイ感じなんだ、行けば分かる」だった。ケアンズに居た頃も、西オーストラリアでは必ず立ち寄れと言われた場所だったので、これはもう行くしかなかった。と言うかどうぜ通り道だし行ってみた。ここのケーブルビーチは長さ約22キロの綺麗な砂浜で、海はコバルトブルー!もう南国感が素晴らしい!海底ケーブルからその名前が付いたらしいが、そんな事はどうでも良い。とにかく綺麗だ!そして、ガンシュームポイントとローバックベイの、深いブルーの海と赤土の岩のコントラストが衝撃的だった。恐竜の足跡の化石もちゃんと確認しました。その後、ブルームの日本人墓地に行ってみた。

 

ブルーム

f:id:diveseaforest:20190402210801j:plainf:id:diveseaforest:20190402210817j:plain

f:id:diveseaforest:20190402210833j:plainf:id:diveseaforest:20190402210840j:plain


 1880年代頃から、真珠養殖の為に移民していた日本人潜水夫は2000人程いたそうです。彼らの技術は高く評価されていたらしく、ブルームでの真珠産業に彼らの存在は欠かせなかったそうです。和歌山県太地町出身の人達が多かったらしく、ブルームの姉妹都市でもあります。しかし、潜水病や事故などで亡くなられた方が多かったらしく、その数およそ900名以上、凄まじい数です。太平洋戦争が始まると、日本人移民は収容所に送られたり、ブルームの町も日本の攻撃を受けたりして、もの凄く複雑な場所になってしまったみたいです。

 

ブルームの日本人墓地

f:id:diveseaforest:20190402210903j:plain


​ その後、この墓地は管理者が居なくなり荒れ果てていたところに、日本船舶復興協会の笹川会長の寄付金などがあり復活したそうです。ここに来る前に、飲み屋さんでオージーのお爺ちゃんに戦争の事で怒られたのだが、その時には、昔ココに日本人住んで居た事、そしてここまで来て戦った事など全く知りませんでした。和歌山のクジラ捕りとブルームの真珠採りの関係。とても興味深い話です。

 

 夕方、反対側のビーチではブルーム名物「月の階段」が見れたらしいのだが、目の前のケーブルビーチの夕日が見事すぎて立ち上がる事が出来なかった。するとビーチの方からカップルの影がこちらに近寄って来た!僕らの方から見ると、彼らは夕日を背にしていたので、真っ黒で誰だか分からなかった。暫く凝視していると、疑問形で僕の名前を言われた。なんと!ケアンズでの友人K君とYちゃんだった!ブルームの浜辺で偶然の再会をしてしまったのだ!いやーこれはかなりレアな再会の仕方だな~。ブルームの真紅の夕日の中で、お互い感動をしながら再会を喜び合った。月より友を取った感じだった。

 

f:id:diveseaforest:20190402210942j:plain

 


フィッツロイクロッシング周辺

 

 ちょっとメインの道を外れてダート道を夜中走っていると、ちょっと不思議な感覚なんです。ジャンコクトーの映画「オルフェ」の中で、屋敷まで行くシーンの様な感覚なんです。分かりづらいですね。ちょっとシュールな感じと言う事です。そんな中、一定の間隔で車の下を横切っていく小さい何か?が、ずっと目に入ってきます。最初は良く分からなかったんですが、兎に角、絶妙なタイミングで車の下をスルーしていくんです。んんん~何じゃろ?何回も目を凝らしてみると、何と!それはウサギでした!1回も車で引くことなく幻想的な雰囲気を味わえました。いや、1回だけ引いてしまったかも知れません。ですが、彼らを避ける事は出来なかったのです。もしそうだったら許してね。

 

道中の景色

f:id:diveseaforest:20190402211010j:plainf:id:diveseaforest:20190402211020j:plain

f:id:diveseaforest:20190402211036j:plainf:id:diveseaforest:20190402211044j:plain


​ これは日中の話ですが、オーストラリアを運転していると奇妙な光景に遭遇します。先ずはロードトレインと言う大蛇の様なトラック!長いものは数十メートルで追い越しするのがめっちゃ大変なんです。対面からすれ違う時など風圧がハンパない!日本なら絶対に曲がることが出来ないだろうな~と思います。大陸ならではの運搬方法です!

 

これは普通のトラック

f:id:diveseaforest:20190402211115j:plain


 そして、次がもっとスゴイ!絶対に日本ではありえない事で、僕は2回ほど見たことがあります。西側の道路はコスト削減のせいか、広大過ぎて作るのが面倒なのか、半分しかシールド(舗装)されていないのです。要は常に車一台分しか舗装道は走れないのですが、そんな中、正面から一台大きな看板を掲げた車が走って来ました。英語がズラズラ書いているので最初分かりませんでしたが、その車が通り過ぎてからおよそ20分後、何やら大きな物体が正面からやって来るのです。だんだん近くなってくると全貌が明らかになるのですが、驚くことに家が丸ごと向かって来るんです。新手の引越しという事なのだろうか? 道路いっぱいに家が動いているので、すれ違う際にはこちらが舗装から外れて走るしかなく、ガタガタゴトゴト運転しながら家を通り過ぎるのを待つんです。もうねー、何とも突っ込みどこ満載の方法なんです。家は現地に置いていってくれ~!(笑)

 

半分しか舗装されてない

f:id:diveseaforest:20190402211140j:plain



バングルバングル


 ここまでくるとパースから既に2300キロも離れてます。以前から行きたい行きたいと思っていた場所で、地球上の場所とは思えない摩訶不思議な地形。世界遺産パヌルル国立公園にある奇岩群バングルバングルです!名前もカワイイ!アボリジニが2万年前から足を踏み入れていた聖地らしいですが、もうここは地球じゃない!って感じの風景です。

 本当は車で行こうかと思ったのですが、この時には雨季で内陸の運転は難しそうだったので、カナナラと言う場所に行ってそこからセスナに乗って優雅にに空から風景を楽しむ事にしました。初の4人乗りセスナで観光です。パイロット2名、乗客はたったの2名様まで。偶然一緒に乗ったのは日本人の女の子でした。こんな場所で日本人と会うのはビックリでしたが、この時の僕は日本人女性よりも奇岩でした!2時間ぐらい乗っていた気がしますが、現地に着くまでの景色もまさに絶景!雨季の為か辺り一面洪水の様に水の世界でした。奇しくもこの日は3月11日、18年後は東北大震災の日です。

 

バングルバングル

f:id:diveseaforest:20190402211216j:plainf:id:diveseaforest:20190402211230j:plain

f:id:diveseaforest:20190402211245j:plainf:id:diveseaforest:20190402211259j:plain

f:id:diveseaforest:20190402211314j:plain

f:id:diveseaforest:20190402211328j:plainf:id:diveseaforest:20190402211338j:plain

f:id:diveseaforest:20190402211352j:plain

f:id:diveseaforest:20190402211403j:plain

f:id:diveseaforest:20190402211412j:plainf:id:diveseaforest:20190402211421j:plain


 バングルバングルは、約3億5000万年前、山から流れる川の下流に砂がたまり、年月とともに隆起し、2000万年にもおよぶ風雨の浸食によって生み出されたらしいのですが、数字の桁がデカすぎて全くピンときませんね。この頃は大規模な氷河時代みたいなので、今とは全く違う景色だったのでしょう。この1000万年前に両生類が初めて上陸したぐらいの年代みたいです。形は滑らかなドーム状のミルフィーユがたくさん並んでいる感じで、食器洗うスポンジのデコボコ部分みたいな巨大な岩達です。ウォーキングで近くに行けばアボリジニの壁画などあるらしいです。太古の昔、彼らがこの場所を聖地にしたのは全くもって頷けます。

 

 

ダーウィン

 

f:id:diveseaforest:20190402211449j:plainf:id:diveseaforest:20190402211457j:plain


 ダーウィンで一番有名なのは?おそらくカカドゥ国立公園ではないかと思います。この国立公園は日本の四国くらいの大きさらしく、沢山の先住民族アボリジニの壁画を見ることが出来ます。アボリジニは文字を持たない採取狩猟型の文化で、なんと!時間の概念がないそうです。現代人では考えられない事ですが、約束や遅刻などで問題が起こる事がないので、ちょっと便利かも知れませんね。いや不便かな?

 

f:id:diveseaforest:20190402211523j:plain

f:id:diveseaforest:20190402211542j:plain


 しかし彼らは、「ドリームタイム」と言う概念を持っているらしく、祖先から伝わっている天地創造や神話や歴史などを、過去、現在、未来など区別しない考え方で、常にこれを生活に反映させて生きている様です。と言うか、ドリームタイムの中で今でも生きているのだと思います。文字文化を持たない彼らは、口伝継承と壁画と言う方法で様々な事を後世に語り続けてきています。と言うのは僕の解釈ですが、ドリームタイムについては、まだまだ議論中だという事です。アボリジナルアートは、まるでレントゲン撮影の様な趣きで、かなりインパクトのある作品ばかりです。中でも有名なのは、雨季の激しい雷雨を思いのままに操ると信じられている「ライトニング・マン」でしょう。という事なので、彼と同じポーズでパシャリ!してみました。

 

f:id:diveseaforest:20190402211602j:plain


​ ここで不思議に思う事は、なぜ彼らは文字文化を発達させて来なかったのか?という事です。僕の勝手な考えですが、元々は文字も、存在しているモノや概念を他の人にも分かる形式に表現したものですが、もしかすると壁画自体がすでに文字的な意味を持ち、その文字的なモノはそれ以上の形態変化を必要としなかったのかもしれません。その時代のアボリジニなら、生きる上で必要な事を伝える手段は、それ以上必要なかったのかもしれませんね。言葉は既にありますしね。現代では文字を使って伝えることは可能ですが、どうしても受け取り方は人それぞれになってしまう可能性は拒めませんし、現代の文字にも色々と問題はあると思います。

 「語り得ぬものについては沈黙を守らなければならない」 By ウィトゲンシュタイン

 僕の大好きな世界最古の管楽器、ディジュリドゥ―も彼らの発明で、音(振動?)を使って治療もしていたそうです。現代科学&医療では、この振動という現象はとても大切な事の一つです。「音」と言うモノも、文字同様に表現方法の一つですが、文字ほど明確に意味が伝わりません。でも、言葉より音にした方が良い時ってありますよね?音楽などは本当にそう思います。ひょっとすると、地球と上手く共生する文化と言うものは、発達し続けることではなく、あるレベルまで達したらそこで変化をやめること、すなわち時間の概念を止める事なのかも知れません。アボリジニは過酷な条件のこのオーストラリアで、自然と共生する達人だったのではないでしょうか?という事を考えながら、カカドゥ国立公園を見ていた訳ではありません。あしからず。

 

ダーウィン

f:id:diveseaforest:20190402211633j:plainf:id:diveseaforest:20190402211642j:plain

f:id:diveseaforest:20190402211701j:plainf:id:diveseaforest:20190402211712j:plain


 そして、イエローウォーターという大湿原地帯も圧巻!人間の入る余地のない大自然で心癒されます。この辺りを運転していると、周りにアリ塚が多くなってきます。中には5メートルほどのアリ塚もあり、アリさんの建築技術に感心させられます。

 

イエローウォーター

f:id:diveseaforest:20190402212120j:plainf:id:diveseaforest:20190402212132j:plain

f:id:diveseaforest:20190402212147j:plainf:id:diveseaforest:20190402212154j:plain

f:id:diveseaforest:20190402212206j:plainf:id:diveseaforest:20190402212218j:plain

 

巨大アリ塚

f:id:diveseaforest:20190402212237j:plain



キャサリン渓谷

 

道中の景色

f:id:diveseaforest:20190402212336j:plain


 ダーウィンから南下して約240キロの位置にあるキャサリン渓谷。13の渓谷があり、カカドゥを水源とするキャサリン川が流れています。ここを堪能するには車より船だ!という事で、ボートを使用してのリバークルーズツアーに参加する事にしました。ワニも生息する川なのでドキドキだけどワクワクです!船から見る渓谷の眺めも大迫力で、さすがにこの景色は車では見ることが出来ないです。もちろん運転手付きなのでとても楽ちん!ここから少し南下した所に、マタランカホットスプリングスという温泉もありました。と言うか温水プールっぽい感じ。ここで旅の疲れを一気に落とすのでありました。

 

キャサリン渓谷

f:id:diveseaforest:20190402212403j:plain

f:id:diveseaforest:20190402212422j:plainf:id:diveseaforest:20190402212433j:plain

f:id:diveseaforest:20190402212448j:plainf:id:diveseaforest:20190402212500j:plain

f:id:diveseaforest:20190402212529j:plainf:id:diveseaforest:20190402212539j:plain

f:id:diveseaforest:20190402212551j:plainf:id:diveseaforest:20190402212602j:plain


マタランカホットスプリング

f:id:diveseaforest:20190402212628j:plain



ダーウィンとスリーウェイズの中間

 

 夜の運転中に車が故障。最終手段の「キャブにガソリンを直接かける」技も通じず、どんなに頑張っても治らないので、諦めて夜空を見上げることにしました。煮詰まった時には一度引くことですね。するとそこには!天の川も分からないほどの星空が広がっていたんです!感動を通り越えて思わず一人で雄叫びをあげてしまいました。ボンネットに寝転び夜空を眺めていると、流れ星が次から次へと線を引いて行くんです。今までの人生で最高の夜空だ!この記録はまだ塗り替えられていない。宇宙の中には無限の星々があり、地球はその中のたった一つに過ぎないのだなっと改めて感じさせてくれる。この車の故障のお陰で、こんなスゴイ景色に出会えて良かった!車の故障ありがとう!とは素直に思えないけど。

 

旅はもうすぐ終了。こんな感じの気分。

f:id:diveseaforest:20190402212713j:plainf:id:diveseaforest:20190402212722j:plain


 そして、いつの間にか夜が明けると1台の車がやって来た。気さくなオージーのお兄ちゃんでいとも簡単に車を直してくれたのだ。旧式の車の良いところは作りが単純って所ですね。まあその単純なものも直せない自分はとても恥ずかしいですが。

 

旅では最高80キロまでに。こんな景色も見納め。

f:id:diveseaforest:20190402212755j:plainf:id:diveseaforest:20190402212804j:plain


 そんなこんなで、ケアンズを出てから約3か月間。無事にまたケアンズに帰って来ました。タイヤのバーストが怖くて危険な夜走行をしましたが、結果タイヤ交換をせずに済みましたし、途中で怖い経験もしたけどカンガルーバーも結局付けなかったし、何回も車は止まったけどその都度色々な人の助けで何とか乗り越えることが出来たし、とにかく!オーストラリア大陸一周を無事に楽しくやり遂げる事が出来ましたー!総走行距離約4万キロ。地球を一周してる感じだ!

 

旅を終えて息絶えてるフォード君

f:id:diveseaforest:20190402212823j:plain


 オーストラリアで出会った皆様、無事完走してくれたフォード君、そして全ての自然と見えない力に感謝したいと思います。色々どうもありがとうございましたー!ヽ(^。^)ノ

 

 

まだあるビックリな話

 

 2000ドルで買ってオーストラリアを一周した車が、最後は全く動かなかったのに1400ドルで売れてビックリ!そして、車を売ってくれた人と買ってくれた人と同じ人だったのにも又ビックリ!運転中に、辺り一面に沢山の小さい竜巻が発生していたので、タイミングを見計らってその中に入った。一瞬呼吸が出来なくなり車の中のものが飛んでいってめっちゃ楽しかった。道路の脇では、ブッシュファイヤーと言う自然の火事で黒焦げになった草木が広がっていた。燃えてる最中にも遭遇したが、運転していて熱いんです。 暑さのせいか、道路のあちこちに破裂したタイヤがゴロゴロしてたり、獣たちの死骸がバタバタ転がっていた。死臭も強烈で自然の驚異を痛感した。

 

 かなり驚いたのはバッタの大群。映画のようで、見渡す限り辺り一面本当にバッタのみ。車も走れないほどの大群ぶりだった。ハエの大群は体を回転させても必ず日陰に隠れることを学んだ。内陸ではハエで肉が真っ黒だ!内陸の人達はハエが口に入ってしまう為、あまり口を開けて喋らない。夜間走行、道路の脇には無数の動物の目が光る。時折その目が道路の端から端へジャンプする。ワラビーの群れが道沿いにいるのだ。彼らのジャンプ力は凄まじい!車に当たらない事を祈りながら、この別世界の入り口のような光景を楽しんでみた。

 

旅で使用していた地図

f:id:diveseaforest:20190508210143j:plain

 

 

エピローグ

 

 ワーホリビザは1年間だけなので、その後どうしようか考えた。そのままニュージーランドに行ってスキーの仕事を探そうかと思ったが、まだ雪のないことを知り断念。インドネシアに変更した。もちろん目的はスキーではない。そこから、のそのそとタイへ向かおうとしていた。理由は特になかったが、知り合いがいた事と、何となく国境が繋がってる雰囲気だったからだ。ここでビックリポン!なんと!偶然S君とオーストラリア出国日が同じだったので、一緒にバリへ行くことになりましたー!本当に旅って何が起こるか分からない。おもしれ~!

 そして、インドネシアのバリ → ロンボク → バリ(S君は謎の病気発症の為、緊急日本帰国) → ジャカルタ → シンガポール → マレーシア → タイ と言う風に旅行して行き、1度日本へ帰国したが、半年後にはタイのプーケットへ行き、その後20年間タイで生活することになった。人生は本当に何があるか分からないし、とても面白いものだと思う。全てはオーストラリアから始まり、そこでの人間関係が僕をタイへ導いたのだが、その辺のお話はまた次回へ続くことにしてみたい。

 

 

あとがき

 

 あの頃の旅行は、今みたいにネットがあるわけではなく情報源は本だった。そしてもう1つは人からの情報だ。ネットで色々調べながら旅するのも良いが、あの頃の旅の仕方は、本を読み、貸し借りしたり、人に話しかけて旅の情報を仕入れたりした。その中には人とのコミュニケーションなどが含まれるので、自分でも色々な引き出しを用意する必要があった。ネットがあれば自力で調べられる事は無限だ。しかし、そこに人は介在しないので昔の様な人との関わり方はしないだろう。

今でも、やろうと思えばネットなしで旅は出来る。しかし、周りの環境がネットに接触しているので、明らかに違う旅になってしまうだろう。その昔の旅、今の旅のスタイル、どちらにも良い悪いがあるだろうが、とにかく、感動をして感謝をして、その場の情緒を感じて色々学べれば、旅にしても生活にしても、今も昔もないのだな? と思うのである。ただ、カメラだけはフィルムではなく、今のデジカメを持っていれば、もっと沢山の写真を撮っていた事は間違いないだろう。

 

 「人生は、人も仕事も全て旅!」

 

 

まだまだ旅はつづく......

 

 

2018年04月24日

 

 

2nd Phase - Thailandへ