1st Phase - Australia 03

ケアンズペリカン

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『オーストラリアンレジャー』と言うツアー会社

 

 カラオケ屋さんが突然終了してしまったので、すっかり失業者になってしまった僕はまた新しい仕事を探そうとしていた。そんなある日、S君のやっていた仕事だったのだが、ツアーガイドの仕事を紹介して頂いた。日本人観光客の皆様のホテルチェックイン、ツアー紹介、空港送迎などが主な仕事だ。日本でもほとんど着なかったスーツでのお仕事だ。ただし、ツアーなどは1度行っていないと紹介するにも実感がわかないので、インスペクションと言う形でツアーの下見調査が無料で行けるのだ!会社に入ってから暇な時にはこの調査で色々なツアーに参加した。スノーケルツアーや、観光地へのツアーなど、本番の仕事ではなく緊張感がなく楽しいのだが、あくまでも調査なので色々とメモを取りながらの参加だ。前回のカラオケ屋さんの仕事は、日本人だらけだったので殆ど英語を使う事はなかったが、今回は観光地やホテルなどでのやり取りは全て英語だった。お客様との会話は全て日本語だったので問題は無かったが、英語は下手だったのでかなり苦労してしまった。

 

インスペクションにて

 

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 思い起こせばこんなトラブルがあった。仕事ファイルの1番下に仕事が残っており、これを見忘れてドタキャン状態になってしまったのだ。ホテルの外人スタッフが対応してくれたみたいで事なきを得たらしいが、社長に呼び出しをくらった。その時僕は、運悪く髪を染めていた最中で、シルバーにするはずだったのだが長時間の説教の為、髪を洗い流すタイミングをすっかり失い気付けば真っ茶色に変身。普通にチャラけた髪型になってしまった。まあ自分のせいだからしょうがないっす。


 こんな事もあった。この会社の出勤時間はその日の仕事によりバラバラだったのだが、ある日の仕事はかなり早朝だった。お客様が早朝到着でホテルにチェックインをするので、自宅からホテルへ自転車で直行の楽ちんパターン!しかし、そんな日に限って寝坊してしまうのって良くある事ですよね。すぐに起きて支度をして、大急ぎで自転車をこぎまくり。「ギリギリ間に合うかな~?」ぐらいだった。早朝と言ってもまだ太陽は上がっておらず辺りは真っ暗。そんな中トラブルは覆いかぶさる様に訪れるのでありました。突然出てきた犬に吠えられながら追っかけられたんです。めっちゃめっちゃ怖くて、漫画の様に見えない程の高速で自転車をこぎまくり、猛スピードで逃げまくった! ギリギリ追いつかれそうだったがやっとの思いで犬を振り切り、もう少しでホテルだ!っというところで、何と!

 

インスペクションにて

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 まだトラブルは続くんです。犬から逃れてホッと一息という所で、道の段差に気づかず自転車は宙を浮いていた。ほぼ一回転。挙げ句の果てには、自転車が空から降ってきて自分にヒット!自分の自転車に引かれたのは人生で2度目だった(1度目は小学生の時だった)。ワイシャツも破れ、泥だらけでホテルへ到着。この時のお客様はビックリしただろうな~。誰かに襲われたツアーガイドって感じだった。こんな感じのドタバタガイドでした。結局、仕事よりインスペクションが多い感じになってしまったのは会社に申し訳なかったですが、とても充実したお仕事をさせて頂きました。色々とご迷惑をおかけ致しましたが、本当に有難うございました。

 


ケアンズ最後のお仕事は、『ペリー二』と言う革製品屋さん

 

 悪評名高いレイクストリートと言う道がある。この道沿いには観光客向けのお土産屋さんが立ち並び、店頭にはキャッチセールスが待ち構えてるという見るからにガラの悪いストリートで、店の前を通れば必ず話しかけられてしまうという迷惑な道だ。ケアンズ最後の就職先は、この道沿いにある革屋さんだった。この店のノルマはキツイと言われていたのだが時給が良かったのだ。しかし暑いケアンズでスーツ姿で店頭に立ちキャッチをするのはかなり辛かった。とにかく、店の前を通る人全員に話しかけると言う迷惑な仕事だし。だが、この仕事のおかげで、見ず知らずの初対面の人に話しかけると言う技を習得した。お客様商売としてはかなり有効な武器だ! この仕事に就いたきっかけもキャッチだった。店の前を通るとキャッチの男性に話しかけられ、次第にスカウトされてしまったと言う感じだ。


 オーナーはイタリア人のマリオという男性だ。外見も見るからにマリオという感じだ。きっと弟はルイジに違いない。そして従業員の外人マネージャーが4名いて、その外人とペアを組んで働くというスタイルだ。外人はそれぞれ個性があって、やりやすい人とやりにく人がいる。まあどこの国で働いてもこの感じはずっと付きまとうものだ。僕はまあまあ売り上げの良い方だったが、1日だけ売り上げゼロという日が出てしまった。理由などないが、お客さんが全然いなかったせいもあるし、気の合う外人マネージャーだったせいで、1日中喋っていたからかもしれない。まあ、そんな時もあるものだ。ノルマがキツイのでクビになるかな? と思ったが大丈夫だった。暑いケアンズで毛皮を売るのだから、それなりにテクニックがいる。外で話していても高い気温のせいか革製品など全く買う気になれないので、エアコンガンガンの冷蔵庫の様な店内に入ってもらう事がまず大切だった。決して安い買い物では無いのだが、旅行のマジックもかかりそこそこ買って頂いた。

 

マリオ

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お店の前で1番気の合うスタッフと

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 直接仕事に関係する話では無いのだが、こんな事があった。いつも自転車で10分ぐらい通勤していたのだが、この日は、前日飲み過ぎたせいか完全に遅刻してしまう時間に起きてしまった。最後の手段とばかりに、目の前の道でヒッチハイクをしてみた。予想とは裏腹に簡単に車を捕まえる事が出来た。ここはヒッチハイクを日常茶飯事にしている国で、もちろんそれに関しての事件も多いのだが、朝9:00頃の町中で車で3分程の距離だと全然オッケーだった。日本では絶対に考えられないスタイルだ。毎日このパターンは失礼だが、緊急手段としてのこの方法はかなり素晴らしいものだと思う。やっぱり国がデカイと心もデカイのかもしれない。

 

となりの店で働くエアホッケーの名手。店のスタッフたち。

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 そして、いつも仕事が終わった後には、エンドオブザワールドと言うディスコに行っていた。名前からして、ダメダメ感が漂うが名前負けしていないのだ。店内は踊り場がもちろんあって、ビリヤード、そしてエアホッケーがある。毎日夕飯も安く食べられるのだが、僕はほとんど夕飯には手をつける事はなかった。ここでハマったのがエアホッケーだった。日本では温泉に行った時ぐらいしかやらないゲームだが、初めてそのゲームをここで見た際には、全く見た事の無いような、まるで格闘技に近いものだった。なんせ、球に目がついて行けないぐらい早いのだ。時折、球が思いっきり場外に吹っ飛んでいく事もある。持ち方打ち方全てが日本の今まで見てきたものと違っていた。1ドルでゲームが出来るのだが、ここのルールは勝った人は払わなくてよく、次の挑戦者が払うシステムだ。エアホッケーがこんなに面白く、こんなに奥の深いものだとは思ってもみなかった。僕は卓球も大好きなので、温泉宿のゲーム選択には脱帽する他ないようだ。


 その他、ケアンズで思い出す事と言えば、ピアの釣り、キュランダ、乗馬、サーカス、バンジージャンプ 、ラフティング、エンドオブザワールド(バウンサーに捕まる)ケバブ、フィッシュアンドチップス、ミートパイ、アカシアコートのビュッフェ、かもめのチャーハン、ポートダグラス、グリーンアイランド、フィッツロイ島、ミコマスケイ、ノーマンリーフ、などなど。バウンサーに捕まるって言うのは、ラッキーじゃないけど本当にラッキーだった。お店の中である事で捕まったが、警察沙汰にはされずに解放されただけだったからだ(万引きじゃないよ)。乗馬も初体験で、馬の賢さと可愛さにすっかりハマってしまったし、初バンジージャンプはマジ怖かったし、ラフティングも最高に楽しかったし、美味しい食べ物達に囲まれてハッピー極まりなかったし、グレートバリアリーフの素晴らしい海にも出会えたし、そして何より、ここで出会った沢山の人達、景色、そして友達皆んなが今でも1番重要だと思っている。この中でマジヤバイと思ったのが、ピアの釣りでの出来事だった。

 

キュランダ

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移動サーカス。ラフティング。

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釣りでナマズの毒にやられる

 

 この頃かなり釣りが流行っていた。ピアの裏の河川に船を出して餌釣りするのだが、皆んなでガヤガヤ喋りながら本気で釣りするってのがイイ感じだった。終わった後はもちろん宴だ! ある日ナマズが釣れた。キャットフィッシュとも言うが、どこが猫なのかマジ分からんが英語だと猫だ。まさかヒゲだけで言ってるのかもしれないがどうでもイイか。釣り上げて家で食べようと思いお持ち帰りに。初めてナマズを捌く事になったのだが、料理をする際に誤って左手の平の付け根部分に、トゲがブッスリ刺さり、尚且つそのトゲには返しがついていてなかなか抜けなかった。ブラブラとぶら下がるぐらいだったが、なかなか抜けなかったので強引に引っこ抜いたところ、ガッツリ中にトゲが残ってしまった。

 すると、みるみるうちに左手が大きくなって痛みも相当なものになってきた。まるで皮手袋してるみたいだ。どうやら、ココに住むナマズのトゲには毒があったらしい。夜という事もあり、病院に行くのは面倒なので腫れが引くのを待っていたが、全く引かずに逆にひどくなっていった。あ~こりゃまずいという事で、救急病院へレッツゴー! 麻酔をかけて中をチェックしてもらったが、トゲは出てこなかった。一体どこへ消えてしまったのだろうか? 未だ身体の中をさまよっているのかもしれないが、別の空間へ移動している事を願うばかりだ。

 

バンジージャンプ。乗馬。

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ミニーストリート 男4人暮らし

 

 男女の4人暮らしも途中で終わりを迎えた。ワーホリにはビザの期限がある為、ビジネスビザでも取らない限りこの頃は1年間で国外に出なくてはならない。A.K.A 「ビザの切れ目は縁の切れ目」である。この法則は、ワーホリ中の恋愛にも適応出来る。そして、女子2名が日本帰国をした後は、気の合う男4人で1軒家をシェアしたのだった。管理者は僕だった。この家は以前、友達のMちゃんが住んでいて、僕は頻繁に遊びに来ていた。その頃は女子3名で住んでいた家で、2LDKという感じだろうか。因みにMちゃんはあくまでも友達です。Mちゃんの彼氏はエンドオブザワールドのDJをしている黒人さんでした。この3人はビザではない理由でバラバラになるので、そのまま僕がこの家を受けついだという事です。

 

リビング内には何故かバイクが。自分の部屋。

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 そして途中から子猫3匹も一緒に住んでいた。「キムチ、ギョウザ、チータ!」名前のセンスは微妙だが本人達はとても可愛かった。恐らくこのネーミングはS君が付けたと思う。男4人の暮らしはマジで楽しかったが、男女4人暮らしとは全く違っていた。まあ当たり前か。皆それぞれ違う仕事をしていて帰る時間もバラバラ。冷蔵庫も棚を4分割して管理していたが、これがまた人それぞれ置いてあるモノに個性が出ていて非常に面白かった。S君、T君、K君と僕の4人だが、中でもS君の棚は、生キャベツとビーフジャーキーだけだった。どうやらお店からタダで持ってくるらしいのだが、本気でこれしか食べてなかったのだ。経費節約らしいのだが、S君はもちろん体を壊してました。

 

家にいた猫たち。バスで旅に出る仲間の見送り。

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 こんな事もあった。家の前には広いお庭があって道路際にヤシの木があった。ある日ロビーでボケ~としていると、ドアが「バコン!」と言って叩かれた。何かの襲撃かと思うぐらいだった。恐ろ恐ろドアを開けてみると…… 誰も立っていなかった。あれ? 何だ? っとキョロキョロするも何もない。おかしいな~、道路から家のドアまでは15メートルぐらいあるので誰かドア叩いたら人影ぐらい見えるはずなんだけど。っと、ちょっと下を見たら、何と~! ココナッツの実が落ちていた。え? まさか道路際の木から落ちてきて、15メートルぐらい転がってこのドアにピンポイントで直撃か? いや~そんなに転がるのかこいつは? 偶然にもほどがあるか、誰かの仕業かは今もハッキリしていないが、ちょっと気になる出来事だった。


 色々あって楽しい生活もそう長くは続かなくなってしまった。何故ならワーホリには期間があるので、その間にやりたい事はやっておかなくてはならない。この家の住人も1人づつ旅立って行って、最後には僕1人が取り残された。というか管理者なので残ったのだ。でも、すぐにオーストラリア1周の旅に出る準備をしていた。しかし、家を出る時に合鍵をMちゃんから預かっていたのだが、 6つあるはずの鍵がとりあえず4つしかなくて、尚且つそのうちの2つはどこの鍵かも分からない意味不明の鍵。あああ~何じゃこりゃ~! とにかく、数だけ合わせてコッソリ大家さんに返してみた。

 こっちで家を借りるときには、日本で言う敷金みたいなものがあって、オレはMちゃんにそれを払っていた。Mちゃんは大家さんに払っていたので、オレは大家さんからこのお金を返金して頂けるはずだったのだが、旅に出発する日までには間に合わないらしいので、旅から戻ってきたらまたここに来て返金してもらう事にした。まだこれから旅の話が続くので先に結果を言っちゃいますが、旅している間に勝手に裁判を起こされて結局敷金チャラにされちゃいました。さすがに法律には勝てないですし。後で分かった事ですが、この手のやり口はかなり多いらしいです。でも、出る前の家はかなり汚かったし、鍵全然違うし、あんまり反論できないな~。


 さて、旅の準備だが、先ずは足を固めないと! という事で2000ドルで車を購入、フォードの緑色のステーションワゴン、走行距離は既に12万キロ、珍しいコラムオートマ。全長が異様に長く、後ろの荷物置き場で3人ぐらい寝れる感じだ。この車なら寝泊りも出来るし何と言っても1番好きな緑色だ! この車は家を出る前に既に購入していて、かなり活用していた。しかし、旅に出る前に色々とやらなくてはいけない事があった。オーストラリアは場所によっては灼熱地獄でタイヤがもたないらしいが、タイヤ1本で行きたいし、だってお金ないからさ。途中で交換するのも面倒なので、旅立つ前に新品に交換して旅に出た。本当は、カンガルーバーと言うカンガルーに追突した時の為の、特殊バンパーを付けるべきだという声が多かったが、だってお金ないからさ、という事で却下した。旅立つ日のケアンズは忘れもしない大雨だった。車の中に水が溜まってたさ。どこから漏れてくるんじゃこの水は? という感じだったが気にしなかった。ケアンズでの色々な思い出に別れを告げて、この頃付き合っていた彼女とも別れを告げた。さいならケアンズ、また戻ってくるさ~。

車を買ったら先ずは立ってみる。そして写真を撮ろう

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 ケアンズでは、ユースホステル数日、ドレイパーst、アップワードst、ミニーst、マクレオドst、その他友人の家に居候などして生活していました。そう言えば、スニーカーと自転車を盗まれた事があったな~。

 

 

再び旅立ち


 ケアンズ市内から離れると一気に田舎道になって行った。民家も疎らになっていき、どんどん人の気配が無くなっていく。すれ違う車もどんどん減っていき、数時間他の車を見ないという感じだ。ひたすら林や森が続く。突如現れる広大な畑や牧場らしき空間。シドニーから北上して来た道と若干違う道を走っている。時には車を停めて、大自然の空間を味わったり、1人なので思いっきり歌を唄ってみたりと、周りに誰も居ないのでやりたい放題だ。ここで念願の野ウ◯チもしてみた。最初は誰か通らないか心配だったが、草むらで自分は見えないだろうという事と、ココでやらなくていつするのだ!今でしょ!と言う事で、爽快にやってみた。トイレの中でするのと全く違う感覚、自然の景色と風の中で用を足すのはこんなに気持ち良いことなのかと感動してしまった。トイレで感動するのも珍しいことなのだが。

 

これから一周の旅へ。周りには誰もいない。

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 ひたすら運転し続けていると辺りは暗くなってきたので、道から外れて何も無い草むらで車中泊してみた。ケアンズを離れて初の野宿。この大自然の中に人間は僕1人だった。少し怖かったが直ぐに眠りにつくことが出来た。次の日の朝目覚めると、あり得ない光景が目に入った。車全体を牛に囲まれていたのだ。うお~何じゃこりゃ~! 怖いけど面白いぞ~! ドアも開けることが出来ず、しょうがないので牛さん達が立ち去るまで車の中で待っていた。30分ほどでノソノソと移動していったので、ゆっくりと彼らを驚かさない様に車を発進させた。ここでの主役は人間ではなく、自然や動物達だという事を強く実感した。これからの旅で一体何が起こるのか? ワクワクが止まらない感じだ!


道中の景色

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ブリスベンでMちゃんと再会

 

 ケアンズを出発して南下しているので、途中ブリスベンを通る。前回の旅で、シドニーからケアンズまでは旅行したので、サラッとシドニーまでは行こうと思ったのだが、最後の家の元家主のMちゃんが、ブリスベンにいると言う手紙をもらったのでちょっと寄る事にしてみた。この頃は携帯電話やネットなどないので、コミュニケーションツールは電話か手紙が主流だ。今のネット環境や携帯電話でのやり取りは便利である反面、どうでも良い内容も多くなりがちで無駄なやり取りも多い気がする。一方、手紙などは返信までの時間差や既読されてるかも分からず、時間が止まっている感じがする。電話は相変わらず直接的にオンタイムでやり取りできるが、その時に電話に出れるかが問題だ。

ブリスベンのMちゃん。道中の景色。

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 どのツールも使い方次第だが、昔は2つしか選べなかった。なので、約束などの重みが今と昔ではだいぶ違う気がする。小まめにやり取りできない分、簡潔に用件を済ませる技術力が昔の方が数段上だったはずだ。この時は近くまで来て電話してみた。ブリスベンの地理など全く分からず、ナビなど勿論ないので、ちゃんとその場に行けるかは一か八かだ。けっこう迷ったがようやく再会することが出来て、手紙に書いてあったモノを渡すことが出来た。前回の旅同様、ブリスベンの思い出はあまり覚えていない。んんん~何故だろう? マジで興味ない町だったのかもしれない。この時、もう1人の友達をペトロシェア(ガソリン代割り勘)でシドニーまで乗せる事になった。

 


シドニー、キンクロで車上荒らしにあう

 

 3回目のシドニーでは車上荒らしにあった。ちょっと車を置いて町見物に出かけて車へ戻ると…… 。あ! 後ろの窓開けられてる! 急いで荷物をチェックした。必死に探したがオレのパスポートが見つからない。友達に散々慰められて諦めかけていた時に、偶然発見! あああ~寿命が縮んだ。すると友達の荷物から多少何か取られていたらしい。大したものではないという事なので車を発進させた。フォードのステーションワゴンは、後ろの窓が外から手動で空けられちゃうのだった。防御率ゼロなのであった。すると、友達が、「あ~!」 っと大声を出した。さっきのバタバタした時に、車の上に財布を置いていたらしい。車は既にそこそこ走っていたが、急いでその場所に戻った! 何と! 何も無かった。まあ普通そうですな。かなり落ち込んでいたが、取り合えず警察行こうかと車に乗ろうとした時に、普通に荷物から財布が出てきた。「何だよ~! 今までのこのバタバタ感は! すげ~無駄だったんじゃね?」まあ人の事は言えないのだが。とにかく一件落着であった。いや、ちょっと盗まれたか。友達とはこの町でお別れをして先へ進んだ。次はメルボルンだー!

 


メルボルン 元旦に到着

 

 あと一息というところでメルボルン到着だったが、日もとっぷりと暮れて辺り一面は街灯も無い草むらの世界。これ以上走っても町もなくお店もないので、車をその辺に停めて野宿することにした。そして今夜は大晦日。年末年始を何も無い場所でそれも1人で過ごす事になりそうだ。月も星も出ていない漆黒の闇の中だったが、自然と一体になっている感じで宇宙の一部、地球の一部のような感覚に陥ったのを覚えている。次の日。という事は元日だ。門松も初詣も、あえて言えば人もいないお正月を迎えた。ここから市街地へはもう少しのはずだったのだが、あとうもう少しで到着という時に、ライトのスイッチが熱を持ちすぎて溶けてしまった。普通ねえ~だろこの現象?結局昼間でもライトを点けっぱなしの変な車になってしまった(この頃はライト点灯の義務は無かった)。そして、電気製品もそうだが、一つ故障すると連鎖反応が出るもので、次はラジエーターがどうやらダメダメになってきた。今までは水ボトルを持って時折追加してたのだけれど、あまりの減りの早さにもう限界。この車はカッパなのかと思うぐらいに大量の水を飲んでは蒸発させていた。と言う事で、宿を探す前に車屋さんを探すことになってしまった。

 

メルボルン近郊

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 ビル建ち並ぶ街で綺麗な車ばかりの中、僕のフォード君はボロボロすぎてかなり目立っていたみたいだ。街中は、田舎道より当然の様にゴチャゴチャしていて運転しずらく、店を探しながら運転なのでチョイと緊張した。そんな感じでウロウロしていると、サクッとパトカーに目をつけられたみたいで、ジワジワとこちらの方に近づいてくる雰囲気だ。バックミラーを見ながらどうしようか考えていた。実はこの車の登録を変更してなかったのだ!車を買ったケアンズクイーンズランド州だったのだが、登録はウエスタンオーストラリアだったのだ。有名な都市ではパースである。この国のシステムは、登録している州での変更になる為、メルボルンでは出来ないのだ。ここで職質くらったら何だかヤバイ感じがしたので、パトカーから逃げる方向で考えはまとまった。って言うか逃げ切れるのかな? すかさず大通りから小道に入ると、後方20メートルぐらいにいたパトカーが同じ道に曲がって来た。こりゃ~確実に狙われている。

 直ぐさま小道を再度入り、また入りして運が良かったのかオージーの性格のせいか、振り切ることが出来たのだ。嘘の様な本当の話である。「やっぱり街中は嫌だな~早く出たいな~」と思っていたが、車を修理しない事にはこの先の旅は続かないので、再度しぶしぶ探し始めた。やっとの思いで車屋さんを見つけて、直ぐさま故障箇所をスタッフに伝えてみた。彼は「次の行き先はどこなんだい?」と聞いてきたので、自信ありげに「この国を1周する」と答えた。すると彼は半笑いというか恐らく真剣だと思うのだが、「この車で1周するのはかなり馬鹿げてるぜ」と言われてしまった。ついでにカンガルーバー付けないと死ぬぞとも言われた。だが、故障した箇所だけ治して、バーは予算オーバーなので取り付けなかった。まだまだオレは若かったのである。そして、直ぐにカンガルーバーを付ければ良かったかな?という事件に遭遇する事になる。この話は後ほど。


 メルボルンではバックパッカーを見付けて泊まる事になったが、その近くの駐車場で車のボンネットを開けて、どう見ても困ってそうな男が目に入った。近寄って尋ねるとバッテリーが上がってしまったらしい。そして彼は日本人だった。隣の駐車場に僕の車が停めてあったので、持って来てバッテリーをジャンプさせてあげた。その場で彼と別れたのだが、その後、違う街で彼と再会する事になった。出会いとは何とも面白いものだ。それがハリーとの出会いだった。メルボルンの宿には、沢山のクラブのフライヤーが置いてあり、クラブが好きな僕は、それをかき集めて夜繰り出す計画を練っていた。夜のメルボルンの町はあまり人影もなく何だか寂しい感じだったが、何処からともなくドンシャリドンシャリ!と言う感じのノリでリズムが聞こえて来る。

 

メルボルン近郊 ペンギンの穴、メルボルンの夜景。

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 音につられてそのクラブを探しまわった。やっとこさっとこ見付けたのは、狭い階段を上った2階にあるドア1枚のクラブだった。ドアを開けると2メートル近い黒人のバウンサーが立っており、すぐさまやられるかと思ったが、低い声で「どうぞ~」的に迎えてくれた。中は薄暗い僕の好きそうな雰囲気だった。音も大好物のガラージハウスでDJもかなり良く、大当たりの場所だった! ケアンズでもクラブに行っていたが、あそこはディスコの延長線上という感じだった。まあそれはそれで面白かったのだが、純粋に曲を楽しむという感じではなく、皆んなでワイワイ楽しむ感じだった。しかし、メルボルンのこのクラブは、マジでクラブだった!そうそうこんな感じを求めていたのである。

 


フィリップ島

 

 メルボルンの町から車で2時間ほどにある島で、フェアリーペンギンの大行進が有名な場所だ。近いし暇なのでちょっくら行ってみた。夕方ぐらいに到着したが、ペンギン行進は夜らしく、それまではお散歩がてらブラブラしていた。すると、道の片隅に小さい穴があって、ちょっと覗き込むと、いるではないかペンギンさんが! 想像していたペンギンとはちょっと違い、すごいちっこくてカワイイ! 明るいうちは寝ているのか穴の中で丸まっていた。そして夜になりビーチに行くと、ものすごい数の! ペンギンではなく人だかりだった。ペンギンが1匹もいないビーチで数百人がじっと待っている光景は何だか寂しいものがあるが、自然の姿を垣間見る事ができる貴重な場所だ。その為か保護はバッチリで、ちゃんとロープを張って近づけない様に管理していたりした。

 

ペンギンをじっと待つ

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 しかし、毎日決まった時間に海からやって来て陸に帰るとか、この観客の中恐怖心とかないのかな? 普通だったら場所変えそうなものだけどな~?っと思ってみた。すると、ポツリポツリとフェアリーペンギンが海からやって来たのだ。「おおおーちゃんとやって来たー!」ギャラリーのマナーもしっかりしていて、息を呑みながらみんなひっそりと楽しんでいた。海から上がったペンギン達は、陸へテケテケやって来て家に?戻って行った。ペンギンを野生で見るのはこれが初めてだ!ペンギンと言うと、南極やら北極やら行かないと見れないものだと思っていたが、まさかオーストラリアのこの地で出会えるとは思ってもみなかった。つい先日は暑いケアンズに居たというのに!オーストラリアは本当にどデカイ大陸だ!

 

 

タスマニアは断念

 

 ここまで来たら、オーストラリアの秘境の島タスマニアに行きたくなった。タスマニアデビルウォンバットなど、謎の有袋類の宝庫である。ほとんど情報を仕入れてなかったのだが、フェリー乗り場はあっさりと見つかり早速料金チェック! 人間1人と車1台分の料金が700AUSドルなり。ダメだ高過ぎる。完全に予算オーバーになってしまう。しかし、せっかくここまで来てこの島に行かないのはどうなのかと思ったがあっさり諦めた。ここで無理して、まだまだこれから続く旅に影響するのが嫌だったからだ。いつの日かまたこの島を目指して来れば良い! 久しぶりに欲を抑えた名回答を打ち出したのだった! この時ばかりは大人だったのか? いや勘違いだろう。ただ単にお金がなかっただけだ。


ベルズビーチ

 

 キアヌリーブス主演の1991年の映画、ハートブルー(Point Break)の話の件に出てくるビーチ。50年に1度ハンパない波が訪れるという事で有名らしい(映画の中の話)。撮影地はどうやらLAらしいのだが、確かにビッグウェーブの来そうな場所だった。1度ここは訪れてみたかったのだ。この映画が大好きでかなり何回も観てしまった。映画のシーンに出てきたのか分からない感じだったが、見晴らしも良く素晴らしいビーチだった。もう少しゆっくりしようと思ったが、ビーチライフをする気にもなれず、先に行きたい症候群に駆られてしまったのでここを出発する事にした。See you in the next life !


ベルズビーチ

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グレートオーシャンロード

 

12人の使徒(The Twelve Apostles)

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  ベルズビーチから海岸線を走って行くと、海は見えるがビーチは無くなり、断崖絶壁と青い海しか見えなくなってきた。絶壁に波が当たり白い雪の様な水しぶきがとてつもない高さで乱舞している。これだけでも素晴らしい景色なのだが、しばらくすると巨大な岩の造形物が次々と現れてきた。1000万年以上前に陸続きだった地形が、長年の波と風により削られ、壮大な石灰岩のアートを創り出していた。12人の使徒(The Twelve Apostles)だ! グレートオーシャンロードを走ったら必ず立ち止まってしまう有名な観光スポットである。人間では決して創る事の出来ない自然の驚異! 思わず口を開けて静止してしまう。現在では1つ陥落してしまい、11人になってしまったらしく残念なのだが、まだまだこの驚異の地形を楽しむ事が出来るだろう。

 

12人の使徒(The Twelve Apostles)

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 アデレードにもう少しで到着と言う道中で、オーストラリアでないと味わえないこんな事があった。先ほどちょっと触れた件だ。道路の脇は深い木で覆われた森だったのだが、快適に約80キロ程で車を走らせていると、左斜め後方に何やら並走してくる物体が視界に入ってきた。そのまま車を走らせて横目でその物体を確認してみると、なんとー! 車ぐらいの大きさに見える大きなレッドカンガルーだった! 「えええ~デカイくね!早くね! 何じゃこいつはー!」 だんだん距離が縮まって来て、彼は僕の車の前方をギリギリで横切り右の森へと消えていった……。僕の目はおそらく、あまりの驚きに全開に見開いていたに違いない。少しづつ車を減速してゆっくりと停車した。しばらくその場で放心状態だった。もしも激突していたら……。あの巨体には絶対に勝てない。おそらく大きな事故に繋がっていた事だろう。あ~死ぬかと思った。メルボルン車屋さんで言われた、カンガルーバーの事を思い出した。やっぱり付けようかな!真剣に考えたが、やっぱりお金が無かったので止めた。ちゃんと安全運転すればきっと大丈夫だろう! という根拠なしの解答に到達した。まだまだ若かったのである。

 


ピンクレイク

 

 運転中に突然現れた無名の湖。直線道を正面を見ながら運転していると、チラッと横の視界にピンク色が侵入した。「ん? んんん~! 」あまりの衝撃に車を急ブレーキで止め少しバックして湖に近寄ると、それは見事なショッキングピンクの湖面だった。「うわわわ~!」辺りには自分以外の生き物もいない。壮大な景色や広大な地形を目の前にした場合、人って意味も無く走り出したくなる様に思います。周りに誰かいると言う事と、歳をとったという事が条件の場合には、この現象は変わるかも知れないけれど。その時は、そのピンクの湖に向かって、「うおー!」っと走ったのだった。写真ではこのショッキングな感じは表せないのが残念だ。こればかりは実際に見ないと伝わらないだろう。写真の様に視界の一部を切り取る感じと違い、実際に景色を見た時の視界の外側に広がる雰囲気というものは、写真や動画では絶対に伝わらない事だと思う。しかし、世にも奇妙なシュールな景色であった。

 

ピンクレイク

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アデレード

 

 F1を路上で開催する有名な場所だ。閉鎖している場所もあるが少し走れる場所もあったので、レーサーの気分になって走ったのだが、この道をあのスピードで走るのは完全にクレージーな世界だと思った。ここでは、アットホーム的な感じのバックパッカーに宿を取ってみた。町外れにある長閑な住宅街の中だ。数人の日本人も滞在してるらしいが、彼らとの接触は少しにして、ちょっと街散策に出かけてみた。マーケットがあったので寄ってみる。すごい賑わいという感じではなく、ちょっと寂しげな、でも居心地の良い場所だった。多少移動で疲れたので、食料を買って宿へ戻った。宿のメンバーとコミュニケーション。そこで知り合ったのが、チャリダーH君、山男Aさん、熱い男J君だ。外人も数人いて、皆で何話したか忘れたが心地よい時間を楽しんで過ごした。

 

 皆それぞれ色々なルートで旅をして来て、色々な仕事をしており、自分にとっては貴重な情報を頂いた。情報には情報返しという事で、今まで来たルートや仕事の話などを皆に提供した。情報とは、ただ聞いた話ではなく、自分で体験して他人に伝えれるようになって初めて生きてくるモノだと思う。モチロン想像や予想なども大事だと思うが、百聞は一見、百見は一考、百考は一行にしかずだ!という事で、男3人でアデレードから北上して、オパール採掘で有名なクーバーピーディと、あの! 地球のおヘソと言われるエアーズロックに行って、またアデレードへ戻って来よう! という計画を実行した。J君は違うルートで旅をするという事だったので不参加だった。皆それぞれ自分を持ち色々なモノに挑戦していた。

 

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つづく......

 

 

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